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疑似科学と科学の哲学

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疑似科学と科学の哲学の商品レビュー

1.0 これは、巧妙な政治的著書である。
科学を難しくしようとするとそれは「無限」に難しいだろう。戸田山を読み、高橋昌一郎を理解した上で、高橋本を批判する者の言い分によってこの本を購読したのだが、笑ってしまった。これだけのページボリュームがありながら、「論理学の初歩的説明をすることが、荷が重い」と著者が言うのだが、科学として認めるかどうかの最低ラインは、論理矛盾があるのかどうかである。進化論と反進化論の対立構造を、科学と非科学にすり替えて説明していくのが、この本の根幹なのであるが、進化論の論理学的厳密性などには全く触れない。そういう意味で科学書と言うよりも、政治的プロパガンダと呼んで好い。この手法は昔よくユダヤ系共産主義者が使った手法で、レトリックのすり替え法、と呼ばれる非常に洗脳には有効でしかも強力だ。
非科学の攻撃する学界とそこの科学者たちの弁明の書であるが、彼らの主張する理論の正当性や蓋然性が高まるわけではない。そこのところを良く踏まえて欲しい。人としての品性の問題すら私の中で芽生える。ゲーデル、ハイゼンベルクを理解した上でなお、人としてやれることはやはり科学しかないのだ。しかし科学の論理厳密性のハードルを下げることには断固反対する。量子論は論理厳密性はなくとも実利的に有効であることは証明できた。進化生物学は、論理性、実利的有効性のどちらもない事を反省すべきだ。池田の構造主義進化論も、笑えるのは、今までの進化の各論を徹底的にこきおろしながら、進化論そのものに懐疑を持たないことだ。なぜだ?論理学をかじってもなお、進化論を客観視することができないからこそ、別分野から、「科学信仰」などと揶揄されるのだ。そもそも構造主義はものの見方を変えたり、修正することはしたが、基本的に何も言っていないんだよ、哲学的には。むしろ文明の進化を否定したのだ。
ま、人は何かを頼りにしなければ生きていけない存在である事の証明なんだが、特に日本では反進化論者は皆無だ、明治時代から。進化論、罪が重い。無神論も論理的証明なんかもちろんされていない。もう神は必要ない、と言った人がいただけだ。神の存在証明の無意味なことは、ゲーデルが証明した、と言うことになると思うんだが、数学的に。
3.0 理屈っぽい恋人対策に
「血液型性格診断」のような話が大好きなあなたが、
「そんなのが説得力を持つのは、誰にでも当てはまることしか言っていないからさ」
などと言うような理屈っぽい恋人に辟易としているなら、この本を読むといい。
一泡吹かせられるかもしれないからだ。
(ちなみに、あなたの恋人の説明は、心理学では「バーナム効果」と呼ばれている。)

とは言っても、本書は「血液型性格診断」の正しさを証明してくれない。
そうではなく本書は「血液型性格診断」のような、
いわゆる「疑似科学」(と言われても我慢して欲しい。著者の言では「疑似」という言葉に否定的な意味合いはない)
と「科学」の間に存在する境界が、いったいどのような原則によって引かれるのかを、説明しようとするのである。
つまり理屈っぽい恋人を打ち負かすには、何も「血液型性格診断」の正しさを証明しなくとも、
否定してくる輩(「つまり疑似科学」と「科学」の線引きの議論法)を叩くという道もあることに気づかせてくれる。
(それから、「血液型性格診断」は本書の主要な事例になっていないのであしからず。)

1章では「創造科学」(聖書に書かれている天地創造の物語を科学的にサポートしようとする立場)と
「進化論」の線引きを巡ってポパーの「反証主義」が、
2章では「占星術」と「天文学」とを巡ってクーンの「パラダイム」論が、
3章では「超能力」の実在を巡る議論を通して、科学における実在論論争が、
4章では「代替医療」の社会政策的な位置づけをめぐって科学的合理性への相対主義的立場が、
5章では、「マーフィーの法則」(「パンがバターを塗った面を下にして落ちる確率は、カーペットの値段と正比例する」といった例のヤツ。)などを
人はなぜ信じてしまうのかについて確率論を紹介しながら、検討される。

…のだが、はっきり言って冗長な記述が多い気もするし、
使えるのかと思って読んできた科学の線引き基準が、
すぐに「実はここで弱い」、とひっくりかえされてしまう連続で、読むのに忍耐が必要だった。
ラストがベイズ理論で終わるのだが、ここはビヨンド・マイ・アンダースタンディング。
それでも、戸田山が『科学哲学の冒険』の次に読むべき本と勧めているので我慢していると、学ぶところはあるもので。

たとえば、アメリカでは創造科学が州憲法レベルでは否定されているものの、
地方の教育委員会レベルではいまだに生き残っているという話には興味を引かれたし、
ダーウィンの進化論は、「獲得形質の遺伝」(キリンの首が長いのは、高い木の葉を食べるための先祖の努力が、
子世代に受け継がれたから、といった説明)の目的論的な思考を、
「自然選択説」(遺伝的な変異によって首が長くなったキリンは環境への適応性が高く、
結果として生存競争に勝ち残ったのが首の長いキリンだった)という機械論的な発想を提示することで
否定したものであったことを学べたのは、勉強になった(常識?)。

ただこの本で得られた議論の立て方を使って恋人を論破して、
二人の中がこじれてしまったらどうしよう。
そのときはやっぱり血液型占いにお願いしてみますか。
4.0 疑似科学と科学の違いが際立ったか?
「科学哲学の冒険」で次の読む本として紹介してあった「疑似科学と科学の哲学」を読了した。どうだろう、「科学哲学の冒険」から私の知識がどれだけ知識が増えただろうか。本の分量としてあまり変わらないのだし、どちらも概観を書いた本なので、当然と言えば当然なのだが、新しい発見が少なくなって、個人的にはあまり面白いと感じなかった。これは、2冊目だからということだけで、こちらの方が面白くないと言う意味ではないです。

確率的な考え方で科学と非科学、特に疑似科学、との違いを程度の問題、ただし圧倒的なスコアでの違いとしてとらえようとしている点は、私にとって新しかった。特にベイズ統計を用いて科学の進歩を定義するのはなるほどと思った。

ただ、いずれの本でも科学のネットワーク性があまり取り上げられないのは何となく不満だ。科学の何か一点を否定しようとしても、周りがぞろりと引っ付いてきて、それらを全部否定しないといけなくなってえらい大変となる、というのが科学の特性だと思う。そのネットワークを引っ付けている糊と言うか、繋いでいる糸と言うかが数学と論理である。

とりあえず、科学哲学に関する本を読むのはこれぐらいでいいかなと思ったのが今回の印象です。
5.0 もっともバランスの取れた科学哲学入門書
これまで、科学哲学の入門書としては「新しい科学論」と「科学哲学の冒険」を読んだが、バランスという点ではこの本が一番いいと思う。

「新しい科学論」は3冊の中で最も平易(中学生でも読める)だが、内容的にはクーンのパラダイム論そのままであり、面白いが決して中立とはいえない。

「科学哲学の冒険」は対話編で書かれていてとっつきやすく作られている一方、深い内容まで取り扱っている。
ただし、これも筆者が実在論的な立場に立っているため、やはり中立とは言いがたい。

そうした点を踏まえると、この本はいろいろな科学哲学者の思想をもっとも客観的・中立に扱っている本だといえよう。
ただし、わかりやすいとはいえ、内容は3冊の中ではおそらくもっとも難しいだろう。(あくまでも相対比較ですので)

この本は、進化論と創造科学(すべては神が創ったという考え)、占星術と天文学、超能力と電子、西洋医学と東洋医学、といった、科学の中でもわりとギリギリの位置にいるものと、おそらく疑似科学と分類したいと普通の人が思うものとを比較しながら、科学と疑似科学の境界にどういった基準がありうるか、を検討している。
筆者が最後にたどり着く、確率的な側面から見て信じることが合理的か否か、といった基準も、考えれみれば普通の人も案外持っているような考え方で、わりと納得がいった。

科学哲学をやるならば外したくないオススメの一冊。
科学哲学は初めての人でも、ちょっと難しいが読む価値はあるでしょう。
2.0 難しくて、長くて
毎日新聞での小西聖子氏の書評では「すごく親切にかかれた入門書」だそうですが、とてもそのようには読めませんでした。いろんな人の考え方が取り上げられていますがいずれも易しくはありません。聖書を重んじ生物の進化を認めない創造科学、占星術、超心理学、漢方や宗教色のある代替治療、メンデルの遺伝の法則を無視したルイセンコの遺伝学などが取り上げられていますが、本書は、これらが疑似科学か科学かを調べるにはこういう人のこういう考えがあり、また、こんな人のこんな考えもあって・・・、はたまた・・・といった感じの本です。
また、索引でなく、用語の解説でも巻末に掲載されないとなかなか先に進めません。多分2割くらいしか分かりませんでした。

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