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疑似科学と科学の哲学

疑似科学と科学の哲学

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疑似科学と科学の哲学の商品レビュー

5.0 「程度」問題への適切な判定
お奨めポイントがありすぎて、どこから手をつけて良いものやら困惑中。

創造論(と進化論)、占星術(と天文学)、超心理学、代替医療を取り上げて、いわゆる疑似科学
と正統な科学との“線引き問題”を考察しています。
そうした考察を通じて、概略ながら科学哲学上で論じられてきたいろんな立場を効率よくレビューする
ことができます。科学哲学のわかりやすい入門として好適。同時に、本書の構成上、題材的な扱い
であるはずの「科学という営み」についての格好の入門にもなっています。

特筆すべきは、第4章の後半から第5章にかけて。
厳密な証拠が得られなくとも社会政策上のアクションを起こさなきゃいけない場面は
あって、そんなときの指針はないのかって流れから、統計的検定法へ向かいます。例の
「5%水準で有意」とかいうやつ。あの第一種の誤謬とか無帰仮説とかのやつ。

そもそも、あれが“何をしているのか”、“なんでそんなことしなきゃいけないのか”ってことを、ここまで平
易な文字列に落とし込んだものは空前だったのではないか。
しかも、「有意」な結果が出たからといって、それが当初想定していた相関を検出しているとは限らない
との指摘など、世の多くの統計関連の参考書・一般書を読み進める前に、是非とも本書を読むべき
でしたよ。超納得中。
かつ、ベイズ主義の特徴を数式抜きで解説したモノとしては、小島寛之氏の『確率的発想法』と
ならぶ双璧ではないかと。

そして、明確に白黒つけられなくとも、いろんな基準を動員することによって、そこそこ機能するだけの
判別がつけられることなど、なんだか感嘆しっぱなし。

お奨めポイントがありすぎて、とにかく心からお奨めです。
高校くらいで、総合学習的な科目の教科書に採用されてもOKなんじゃないかしら。

蛇足的ながら、哲学を論理学、認識論、形而上学(存在論)、価値論(倫理学)に別けるのは、
意外と便利であることに何かと気づき中。
5.0 すばらしいね
科学者がいわゆる疑似科学を批判するとき、はじめからそれがエセであると決め付けて嘲笑するケースが多く、公平さを欠いていると感じることが多い。だが、科学哲学者たる著者はそうした態度を決してとらず、時には非常に遠回りをしながら、科学と擬似科学を分けるものを徹底的に問い詰めていく。題材として、創造科学(聖書記述を事実とし進化論を否定する立場)、占星術、超能力、代替医療などを取り上げているが、著者は飛躍的なきめ付けを一切行っておらず、極めて丁寧にそれらを仔細検討している(「この議論のまますすむと、もしかしたら疑似科学も科学の範疇なのか?」と読者をしばしドキドキ(ワクワク?)させるようなところさえある)。著者の態度には、疑似科学への闇雲な批判者が見習うべき誠実さがある(文は時々おちゃらけているがご愛嬌)。

最終的に、疑似科学と科学を截然とわける線はないが、線はなくとも、複数の判定基準による総合評価で、両者はやはり区別はできるというのが著者の立場。なお、疑似科学であっても、科学並の緻密さや環境で研究されているものがあるそうだ。例えば超心理学(ESPなど)は米国では極めて公式に研究されているらしい。いまのところ結果に再現性がなく科学とはいえなくても、研究して無駄な分野ではないような気もする。ファイヤアーベントではないが、現在非合理とされるものでも、それを研究した結果、何か今の枠にはまらない新たな知見が得られるかもしれないのだから。

著者は本書を科学哲学の入門書だとも言っているが、少しも予備知識がないと読むのは大変だろう。他の薄いのを一冊読んでから読まれることをお勧めする。内容が濃い良書なので、挫折するのはもったいない。
1.0 これは、巧妙な政治的著書である。
科学を難しくしようとするとそれは「無限」に難しいだろう。戸田山を読み、高橋昌一郎を理解した上で、高橋本を批判する者の言い分によってこの本を購読したのだが、笑ってしまった。これだけのページボリュームがありながら、「論理学の初歩的説明をすることが、荷が重い」と著者が言うのだが、科学として認めるかどうかの最低ラインは、論理矛盾があるのかどうかである。進化論と反進化論の対立構造を、科学と非科学にすり替えて説明していくのが、この本の根幹なのであるが、進化論の論理学的厳密性などには全く触れない。そういう意味で科学書と言うよりも、政治的プロパガンダと呼んで好い。この手法は昔よくユダヤ系共産主義者が使った手法で、レトリックのすり替え法、と呼ばれる非常に洗脳には有効でしかも強力だ。
非科学の攻撃する学界とそこの科学者たちの弁明の書であるが、彼らの主張する理論の正当性や蓋然性が高まるわけではない。そこのところを良く踏まえて欲しい。人としての品性の問題すら私の中で芽生える。ゲーデル、ハイゼンベルクを理解した上でなお、人としてやれることはやはり科学しかないのだ。しかし科学の論理厳密性のハードルを下げることには断固反対する。量子論は論理厳密性はなくとも実利的に有効であることは証明できた。進化生物学は、論理性、実利的有効性のどちらもない事を反省すべきだ。池田の構造主義進化論も、笑えるのは、今までの進化の各論を徹底的にこきおろしながら、進化論そのものに懐疑を持たないことだ。なぜだ?論理学をかじってもなお、進化論を客観視することができないからこそ、別分野から、「科学信仰」などと揶揄されるのだ。そもそも構造主義はものの見方を変えたり、修正することはしたが、基本的に何も言っていないんだよ、哲学的には。むしろ文明の進化を否定したのだ。
ま、人は何かを頼りにしなければ生きていけない存在である事の証明なんだが、特に日本では反進化論者は皆無だ、明治時代から。進化論、罪が重い。無神論も論理的証明なんかもちろんされていない。もう神は必要ない、と言った人がいただけだ。神の存在証明の無意味なことは、ゲーデルが証明した、と言うことになると思うんだが、数学的に。
3.0 理屈っぽい恋人対策に
「血液型性格診断」のような話が大好きなあなたが、
「そんなのが説得力を持つのは、誰にでも当てはまることしか言っていないからさ」
などと言うような理屈っぽい恋人に辟易としているなら、この本を読むといい。
一泡吹かせられるかもしれないからだ。
(ちなみに、あなたの恋人の説明は、心理学では「バーナム効果」と呼ばれている。)

とは言っても、本書は「血液型性格診断」の正しさを証明してくれない。
そうではなく本書は「血液型性格診断」のような、
いわゆる「疑似科学」(と言われても我慢して欲しい。著者の言では「疑似」という言葉に否定的な意味合いはない)
と「科学」の間に存在する境界が、いったいどのような原則によって引かれるのかを、説明しようとするのである。
つまり理屈っぽい恋人を打ち負かすには、何も「血液型性格診断」の正しさを証明しなくとも、
否定してくる輩(「つまり疑似科学」と「科学」の線引きの議論法)を叩くという道もあることに気づかせてくれる。
(それから、「血液型性格診断」は本書の主要な事例になっていないのであしからず。)

1章では「創造科学」(聖書に書かれている天地創造の物語を科学的にサポートしようとする立場)と
「進化論」の線引きを巡ってポパーの「反証主義」が、
2章では「占星術」と「天文学」とを巡ってクーンの「パラダイム」論が、
3章では「超能力」の実在を巡る議論を通して、科学における実在論論争が、
4章では「代替医療」の社会政策的な位置づけをめぐって科学的合理性への相対主義的立場が、
5章では、「マーフィーの法則」(「パンがバターを塗った面を下にして落ちる確率は、カーペットの値段と正比例する」といった例のヤツ。)などを
人はなぜ信じてしまうのかについて確率論を紹介しながら、検討される。

…のだが、はっきり言って冗長な記述が多い気もするし、
使えるのかと思って読んできた科学の線引き基準が、
すぐに「実はここで弱い」、とひっくりかえされてしまう連続で、読むのに忍耐が必要だった。
ラストがベイズ理論で終わるのだが、ここはビヨンド・マイ・アンダースタンディング。
それでも、戸田山が『科学哲学の冒険』の次に読むべき本と勧めているので我慢していると、学ぶところはあるもので。

たとえば、アメリカでは創造科学が州憲法レベルでは否定されているものの、
地方の教育委員会レベルではいまだに生き残っているという話には興味を引かれたし、
ダーウィンの進化論は、「獲得形質の遺伝」(キリンの首が長いのは、高い木の葉を食べるための先祖の努力が、
子世代に受け継がれたから、といった説明)の目的論的な思考を、
「自然選択説」(遺伝的な変異によって首が長くなったキリンは環境への適応性が高く、
結果として生存競争に勝ち残ったのが首の長いキリンだった)という機械論的な発想を提示することで
否定したものであったことを学べたのは、勉強になった(常識?)。

ただこの本で得られた議論の立て方を使って恋人を論破して、
二人の中がこじれてしまったらどうしよう。
そのときはやっぱり血液型占いにお願いしてみますか。
4.0 疑似科学と科学の違いが際立ったか?
「科学哲学の冒険」で次の読む本として紹介してあった「疑似科学と科学の哲学」を読了した。どうだろう、「科学哲学の冒険」から私の知識がどれだけ知識が増えただろうか。本の分量としてあまり変わらないのだし、どちらも概観を書いた本なので、当然と言えば当然なのだが、新しい発見が少なくなって、個人的にはあまり面白いと感じなかった。これは、2冊目だからということだけで、こちらの方が面白くないと言う意味ではないです。

確率的な考え方で科学と非科学、特に疑似科学、との違いを程度の問題、ただし圧倒的なスコアでの違いとしてとらえようとしている点は、私にとって新しかった。特にベイズ統計を用いて科学の進歩を定義するのはなるほどと思った。

ただ、いずれの本でも科学のネットワーク性があまり取り上げられないのは何となく不満だ。科学の何か一点を否定しようとしても、周りがぞろりと引っ付いてきて、それらを全部否定しないといけなくなってえらい大変となる、というのが科学の特性だと思う。そのネットワークを引っ付けている糊と言うか、繋いでいる糸と言うかが数学と論理である。

とりあえず、科学哲学に関する本を読むのはこれぐらいでいいかなと思ったのが今回の印象です。

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