若干アート寄り
巻頭に「デザインとはコミュニケーションです」とある。
もっともだと思う。この本には「クリエイター」と呼ばれる人々の作品が収録されていて、それらは確かにビジュアル的にはたいへん優れている。しかし実際にユーザの立場で見てみると、それがどんなサイトなのか、どのようにして使えば良いのか、一瞬戸惑うものが多い。
どんな情報が掲載されているのか分からないようなデザインが「コミュニケーションである」とは、少し矛盾を感じる。
Webデザインについての考え方や判断基準、ワークフローなどが解説されているわけではなく、各サイトのビジュアルとコメントが主で、「カッコイイサイトを集めてみました」という印象だ。
この本はデザイン集のように、アイデアに詰まった時にめくったり、色やレイアウトのエッセンスを拝借するために参考にするのがもっとも適していると思う。
総合的なWebデザインの教本というより、Webのビジュアルデザイン集、と思って買った場合は、さほどがっかりしないと思う。
「類書なし」が最大の長所
Webデザインに関するガイドブックは数多く出版されている。しかしそれは玉石混交に乱立した状況に過ぎず、本当の良書を探すのは大変だ。そんな中で、久しぶりに良書にめぐり会う喜びを本書は与えてくれた。まず、日本全国で活躍しているWebクリエーターの生の声が掲載されているところがすごい。洗練されたサイトだけを厳選しており、それを制作したプロのコメントを聞けるのは相当に貴重なことである。ノウハウ的なテクニックの公開はもとより、制作秘話などもあって充実している。何よりも洗練されたサイトばかりなので誌面のビジュアルが美しく、まるで洋書を思わせる。
本自体の装丁、デザインも素敵なので、持っていることがうれしい本だ。
1.カタログとして各Webサイトのデザインを眺める
2.実用書としてテクニックの解説を読む
3.最先端のクリエーター事情を読み物として読む
本書は上記3つの使い方ができる万能書。1800円は安過ぎるかもしれない。