だからこそ、一日一日がとても大切なんです。
福岡県大牟田市の小学6年生だった猿渡瞳ちゃんはある日、右大腿骨と肺にガンがみつかります。懸命な抗がん治療を受ける瞳ちゃんですが、中学2年生だった昨2004年に残念ながら帰らぬ人となりました。本書は彼女が亡くなる2ヶ月前に弁論大会用に書いた「命を見つめて」という作文を中心にまとめた一冊です。大牟田市で小学校教諭をしている知人に薦められて手にしました。 瞳ちゃんは書きます。
幸せとは、
「地位でも、名誉でも、お金でもなく 『今、生きている』ということなんです。」
瞳ちゃんの筆致は、まだ13歳という幼さが持つまっすぐで潔癖ともいえるほどの理想に彩られています。それを子供なりの無邪気さから発したものであると、さかしらな大人は微苦笑とともに眺めることも可能でしょう。
私自身はこの十年の間に、腰痛を長患いしたり、激しい痛みを伴う結石で二度も救急車に乗ったり、突然のアナフィラキシーで意識混濁に陥ったりと、たびたび病に倒れました。
幸い今のところは健康な日々を過ごしていますが、病気に苦しんだ経験があるからこそ今の健康に人一倍感謝をし、命の重さや愛しさを今までにないほど強く感じることができるようになりました。
そして――決して不治の病に罹っているわけではないにしろ――、一日一日を精一杯生きようという気構えだけは養うことができたと考えています。
瞳ちゃんは最後に作文をこう締めくくっています。
「みなさんも、今生きていることに感謝して 悔いのない人生を送ってください。」
この言葉に胸を衝かれることがあるような恥ずかしい人生だけは送るまい。背筋が改めて伸びる思いのする本です。
伝えられる『願い』、残される『道』
問題は自分が『世界一幸せ』と言えますか?ということです。
嘘でも言えますか?ということです。
もちろんそれに懸賞金が付いてたり、
僕の言葉の足を取るためだったりしたなら言えるでしょうが、
「調子はどう?」なんて聞かれたときに、
何気なく「私は世界一幸せ」だと返事をできますか?
・・僕には無理です。
ですが、このガンに全身を侵されたこの少女はそう言いきったのです。
それは世界で一番強く、大きいことです。瞳さんの言葉、文章、そして何よりも笑顔がたくさん詰まったこの1冊。
たいへん学ぶところがありました。
読めば伝わってくることなのですが、
瞳さんは病気を受けることによって、
世界中の全てを包める『心』を得たように思われます。
そしてそれは命を奪われるような病に侵されないと得られないものなのか?
違うと思います。
簡単なことではないでしょう。
ただし、僕はこの本を通して、そんな『心』を得たいと思う『願い』、
得るための『道』をもらったように思いました。
いつか僕にも、世界中の人にも、瞳さんのような強く、広く、優しい心を・・