読みにくいし、新規なものは何もない
はっきり言って、翻訳がこれほどよくない本も珍しいのではないでしょうか。
とても読みにくいです。造本もよくありません。余白が少なく、文字で一杯になってしまっています。
また、内容的にも新しいものはほとんどなく、大学の就職ガイダンスなどで行っているものの社会人版といったところです。実用書なのか、研究・学術書なのか分からない中途半端な執筆スタイルにも賛同できません。
本格的で体系的なキャリアカウンセリング指導書
正に、日本では珍しいキャリアカウンセリング・心理学の実践の書である。多彩なテクニックと問題解決方法が沢山詰まっている。日本ではキャリアに関して、若い方向けの転職術や人事経営面からの経営学者,組織心理学者の書かれた本や雑誌は山ほどある。失業率の上昇と雇用調整,新しい組織人事のあり方を追求したものだが、キャリアカウンセリングの実践について書かれた本は全くと言っていいくらいない。
組織人事モデルや労働経済からの企業組織のあり方、制度などの提言は多いが、失業した個人や女性、中高年者、障害者への具体的カウンセリングまたは相談の方法について書かれた本は今まで日本にはないと感じていた。いわゆるキャリアカウンセリングのプロセス手順を説いたものは多いが、実践的な具体案がないのだ。
また、心理カウンセリングの実践的・技術的な指導書やワークブックも多いが、キャリアに踏み込んだものは見たことがない。キャリアカウンセリングに多少なりとも関わるものとして、非常に参考になリ、教えられるところ大である。
金井先生の解説にもあるようにキャリアカウンセリングの概念が明確にされており、「ライフキャリア」という定義を持ち込んでいるのも一層キャリアの幅広さを教えてくれる。いろいろなアセスメント方法(中でもCTIなどは職業柄目からうろこが落ちるほどであるが)やワーキングアライアンスと言った概念は言うに及ばず、様々なカウンセリングテクニック、注意点・留意点には深さと細心さを痛感する一方、日本ではとかくホワイトカラーを想定されたキャリア論議が多い中、欧米のキャリア研究の「前提」でが従来そうであったと指摘していることなど、現在の日本にもそのまま通用する感がある。
本書のひとり一人のクライエントの背景にまで配慮、探索するカウンセリングのフレームと具体的テクニックは、深いキャリア理論、心理学に裏付けられており実証的である。同時に、著者たちの長年にわたる実践の成果と真摯さカウンセリング姿勢にを学ぶところ大であると感じた。実践の書であるけれども、キャリアと人生に対する哲学の書でもあると思う。