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IT失敗学の研究―30のプロジェクト破綻例に学ぶ

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IT失敗学の研究―30のプロジェクト破綻例に学ぶの商品レビュー

4.0 システム構築の世界は難しいのだが・・・
システム構築の世界は難しい。何故か金がかかる。何故かシステムが使えない。何故か故障する。その原因を探ったのがこの本だが、事例だけ読むと、あらゆるプレーヤーに失敗の原因があるじゃないか。やっぱりシステム構築は難しい、できれば避けたいものなのか、システム屋さんに押し付ければいいのか。

そうもいかない。現代において、情報戦略は経営戦略そのものだととも書いている。本書はその解決策を風通しのよい組織作りに求めている。自分としては、自分でコントロールできないこと、分からないことには手を出さないことだと思うがどうだろうか。

ちなみに、経済学のいくつかのキーワード(例えば、情報の非対称性、逆選択、限定合理性など)を使っているが、これは難しくない。難しいのは、固有名詞をA社とかB部長とかアルファベットで書いているところ。読んでいるうちに、誰か誰なのか分からなくなってくる。
また、多くの失敗事例を行政機関にとっている。これは、行政機関なら失敗して当然という読者の偏見をベースにしているので、公正な選択ではないだろう。
4.0 システム開発者自身を映し出す「鏡」
畑村洋太郎氏の「失敗学のすすめ」以来、失敗学ばやりである。

システム開発の「失敗学」本もかなり増えてきたので、この機会に一通り目を通しておこうと手に取ったなかの一冊である。

本書は、日経コンピュータ連載記事「不条理なコンピュータ」の再編集モノだ。失敗「学」の「研究」、というタイトルは少しヘンだが、内容はシステム開発の失敗事例31件をドキュメント風に記述したものである。

失敗学といえば、事例から失敗にいたる共通的構造を分析し、なにがしかの法則や「べし・べからず」の教訓を引き出すことに主眼をおくのが普通だ。しかし本書のはそうではなく、ひたすら失敗事例を並べていく。

また、本書で扱う失敗事例が、技術やマネジメントの問題ではなく、ステークホルダーのわがままや欲に起因する問題ばかりである点も興味深い。

まっとうなSEやPMが、頑張ってなんとか良いシステムを作ろうとする。しかし、ありとあらゆるステークホルダーが勝手な言動でそれを「妨害」する。物語としては、SEやPMが主人公、周囲のステークホルダーが「不条理な」悪者、という形をとってはいる。しかしよく読んでみると、初めから失敗をたくらんでいる悪者などはどこにもいない。成功させたいという思いは皆同じだ。なのにプロジェクトは失敗する。プラスを足していくといつの間にかマイナスになる。まさに不条理である。

本書には結論もないし、成功のためのノウハウもない。難しい理屈もなく内容も軽めだ。が、その軽さに比して得られるものは意外に深い。読む人の置かれた立場や経験、見識によって本書はいろいろな顔をみせるはずだ。その意味で本書はシステム開発者自身を映し出す「鏡」なのかもしれない。そこが本書のいちばんおもしろいところである。

ともあれ、単なる読み物としても肩が凝らず楽しめる。一読をお勧めしたい。
4.0 すべてのプロジェクトは大なり小なり不条理な側面を持っている
日経コンピュータで2005年1月まで連載された「不条理なコンピュータ」を本にしたもの.日経コンピュータの「動かないコンピューター」が,プロジェクト・マネジメント・スキルに起因する失敗事例の追及だとすれば,本書はプロジェクトマネジメント以前の問題で,プロマネからすればいくら頑張っても動くはずのない(=不条理)システムの事例紹介である.

単なる不条理事例紹介だけではなく,事例群から一般化した教訓をなんとか導こうという姿勢には共感が持てる.もちろん,この手の失敗分析で「物理の方程式」のような教訓は望むべきもない.ただ,最終章(寄稿3)の「エージェンシー理論」によるシステム開発におけるステークホルダーの分析(不条理がおきる過程の合理性)のアプローチは興味深い.今後も,日経コンピュータで踏み込んだ分析にチャレンジしてもらいたい.

現実には,すべてのプロジェクトは大なり小なり不条理な側面を持っている.そんなプロジェクトのメンバーになってしまった場合,普通はサラリーマン的に「会社はこんなもんだ/しかたない」と割り切っているような気がする.本書を参考にして不条理な構造を「見える化」し有志で共有化しておくと,不条理の克服の「チャンスの前髪」を逃さないかもしれない.
5.0 参考になりました。
失敗学の個々の事例をありのままに書いて欲しかった。
コンピュータ・システムは人間が作成するもでなので、失敗に至る要因と防止策に本の内容に重点を置いて欲しかった。
5.0 なぜ満足のいくシステムが出来ないか
自分が関わっているシステムで、なぜ満足のいくシステムを構築できることが少ないのか、疑問を感じている。
この本を読んでいると、同じ悩みを抱える人がIT関係者に多くいることを知って一安心する。
しかし、これだけ「動いているコンピュータ」で悩んでいる人が多いのに、業界全体の改善がされないのはどうしてだろうか。
やはり、ユーザが勉強不足なのだろうか。それとも、ベンダはユーザに十分満足されると過剰品質になってしまうのだろうか。

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