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アマゾン・ドット・コム

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アマゾン・ドット・コムの解説

懐かしい物語だ。
これは、アマゾン・コムの成立から1999年末までを追った本書が情報として古い、という意味ではない。それを言えば、すべての本は脱稿と同時に古くなっていくのだから。この懐かしさはむしろ、本書の価値である。優秀な青年が、高収入をなげうって信じたビジネスに賭ける。何もないところに優れた人材が集まり、お客様第一をモットーに懸命に働き、会社は急成長、青年は時代の寵児に。示されるのは、経営者ジェフ・ベゾスのまっとうな商人(あきんど)ぶりだ。「ドット・コム」ならバラ色の未来、という話ではない。事実、アマゾン以前にもオンライン書店は存在していた。ただベゾスは、ネットで本を売ることの意味を明確に意識していたのだ。取扱商品は本でなければならなかった(その理由が書かれた2章は示唆に富む)。そして一方、ネットでは得られない、レンガ・モルタル造りの書店で本を手に取る楽しみを、彼はわかっていたからこそ、ネットだけで顧客に提供できることをつきつめた。コンピュータに精通していながらコンピュータに淫せずに済んだ。余計なグラフィックを排し、使いやすさに徹した軽いサイト。きめ細かい対応、参加型書評による親密さの創出。在庫を持たないといういかにもe-ビジネス風な方針はすぐに転換し、物流体制に力を注ぐ。ボタンダウンにノーネクタイ、ちょいオタク、というベゾス像はいまや20世紀末型経営者のシンボルとなった。倹約のため自らドアでデスクを手作りした、といった「開拓期の愉快なエピソード」にも事欠かないが、本書の終盤はショッピング・リストになる。買収、買収、買収。そして訴訟。各章末には「まとめ」がついている。「夢を追いかけること」「意志決定は大胆に行うこと」…はい、ごもっともですね、としか言いようのない大変不思議なものだが、このようなまとめをつけたがる心性の上に株価というものはあるのか、と思ったりもするのだ。(津山 吟)

アマゾン・ドット・コムの商品レビュー

5.0 Amazon.comの初期の丁寧なドキュメンタリー
このレビューを読んでいる全ての人が知っているはずのAmazon.comの初期を描いたドキュメンタリー。会社や創業者ベゾスについて得られる情報をなんでもかんでもつぎ込んだという感じになっていて、とにかく情報量がすごい。読書慣れしている人でも読むのに結構時間がかかるのではなかろうか。色々書いてある中でも、アメリカの出版業界や本の小売業界の力関係と本という商品の特性とインターネットの特性の三つ全てを誰よりも早く的確に把握したベゾスの凄さ、極端なまでにキャッシュフローを重視した経営戦略(赤字垂れ流しでも潤沢なキャッシュがあるので急成長重視)、急成長に沿って素早く個別の会社運営戦略を変化させていった様は読んでいてものすごく勉強になる。素晴らしいケーススタディになっている。

素晴らしい内容も書いてある一方で、文章(たぶん翻訳も)が下手で短い段落が時系列以外のつながりなしで出てきて非常に読みにくかったり、本書の価値を損なう類のものではないがIT関係の記述が間違いだらけだったり、ワンクリック特許のような負の部分の扱いが妙に小さかったり、「創業者ベゾスは魅力的」「社員の○○は優秀」と書くだけで具体的に描写されていなかったりと、ダメな部分も多い。最初ページをざっとめくってみて、「著者でも訳者でもない山形浩生が何で解説なんか書いてるんだ?」と思ったが、読んだ後で納得。解説がダメな部分(ワンクリック特許とか読みにくさとか)や不親切な部分(株価評価とか)を補足してくれている。

しかし、顧客の満足重視という態度は本を売買するという最も重要な部分では感じるが、レビューを書くときや説明文を読むときには感じないなぁ。これは日米の違いなんだろうか?それとも創業時と現在の違いなんだろうか?
5.0 創業当時のアマゾンを知る
創業者ジェフ・ベゾスの生い立ちから起業までのバックボーン、さらにアマゾンを起業するにいたったエピソードから99年頃までの話題を取り上げている。
彼の人柄にまつわるエピソード、創業当時の社内の様子、資金調達の様子、当時の未来予想図など、興味深い話題はつきない。
特筆すべきは、95年前後に描いていたアマゾンの未来予想図やこの本の著者・訳者が筆をとった2000年頃に洞察する数年後のアマゾンの姿が、見事に今現在のアマゾンをあらわしているところだと思う。その分析力だけでなく、実際に未来予想図を実現したアマゾンがすごい。

訳者はジェフの生い立ちやバックボーンはどうでもいいと言っているが、私はどうでもいいとは思わない。アマゾンという企業がとった戦略はあくまで90年代中盤という時代背景を伴ったものであり、成功した要因をまねたところで同じ企業が作られることはない。
しかし、ジェフのようなキャラクターに加え、学歴、職歴を積みかさねる中で取るべき思考回路や振る舞い、人柄、小さな(?)成功体験の積み重ねがあってこそ、莫大な投資を集めることができているのだと思うし、起業までの複数の会社での経験(エンジニア経験、採用に関する考え方など)がアマゾンにもたらしている考えは非常に大きいと思う。
アマゾンのような成功の再現を試みるのであれば、そこにこそ注目すべきではないかと思う。
4.0 事実関係を知るために
ロバート・スペクター氏がamazon.comの発展の経緯についてまとめた本編に関しての意見をまず書きたい。基本的に、関係者のインタビューや実際の株価などに基づいて構成されているため、事実関係を知るために現状で非常に有用な内容となっていると思われる(著者は、ジェフリー・ベゾス氏がいつか自伝を出版することを待ち望んでいるとしている)。内容について特に私が感心したのは、ジェフリー・ベゾスという人間が首尾一貫したビジョンの下に行動していた点で、その「史上最高の顧客サービス企業を目指す」という取り組み方には説得力を感じた。文章について気になった点を付け加えておくと、人名と具体的な株価(しかも漢数字)が大量に文章中に登場するため、読んでいて疲れる。この本編の評価として私は4をつけた。

ところで、最後20ページにわたり山形さんという人が痛烈に主張を展開している。私から見ればこの部分は論理的根拠に欠けると思った。この部分は評価1としたい。
3.0 面白いけれど本としては少し違和感も
アマゾン・コムという、一つの新しい時代をリードした会社の成立を描いた本としては、面白く読めます。会社成立前後のソフトウェアやインターネットの状況なども、素人にもわかるようにかなり努力して書かれています。ただ、そのために読むのには少し長くなりすぎてしまったかも。また、How toもののような、各章末にある「まとめ」というのもあまり意味はない感じがしました。それでも、新しい形態の組織をつくっていく過程での、創業者の性格、投資家の思惑、時代背景などなど、様々な要因の複雑な絡み具合は読みものとしても楽しめるものです。

一番違和感を感じ、そして逆に興味をもったのは、かなりのページ数をさいて載せられている解説です。「この部分は読まないでいい」とここまではっきり書いている解説はあまりみたことがありません。そんな解説も載せているところがこの本の偉いところなのか、雑なところなのか。「こんな本もあるのか」と不思議な気持ちになりました。翻訳出版の際に、こういう解説をつけようと考えた過程が知りたい、というちょっと違った興味をそそられてしまいます。

5.0 おもしろい
さらっと読むにはくどすぎる記述もあるが、全体的におもしろい。
巻末の山形浩生氏の解説は品がなく、あらずもがなと思った。

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