学問としての理系の経営学??
著者によると、科学による予測で論理的に意思決定する割合は、経営における意思決定において50%であるらしい。この本は、この割合をもっと増やしたいという思いで、プロジェクトマネジメントの手法を経営学に適用することを試みた本である。シミュレーションで何でもできてしまうような書き方と感じられるところ以外は、オーソドックスな、良くまとまった経営学の本である。 著者によると、科学的な意思決定とは分析とモデリングとシミュレーションの3段階からなり、将来予測の可能な時間発展的モデルを構築することで、かならず論理的な意思決定が可能になると述べている。
一方で、経営の哲学、ビジョン、が大事であり、なるべく論理的で、できれば定量的な意思決定に従いたいが、できない部分は正しい哲学的な意思決定を行う必要があると述べている。理系の経営学の前提としての根本として、「哲学」を忘れてはならないと言っている。(以前、日本学術会議の委員をしている人で、アメリカの技術経営を定点観測されているある大学の先生から、日本より経営学が進歩しているアメリカの経営者の部屋にいくと哲学関係の本が本棚に並んでいる、ということを聞いたことを思い出した。)
本書では、世界的なヨットレースに挑戦した時のプロジェクトの例が紹介されている。船体の設計、競技シミュレーションなどの先端的な科学的なアプローチが、理系の経営の例として、紹介されている。確かにこのプロジェクトは優勝こそ逃したが、成功したプロジェクトであると思う。
しかしながら、実際の経営では、スポーツとしてのヨットレースとは異なり、勝ち負けの基準がはっきりしていない(シェアなのか、売上なのか、利益率なのか、利益額なのかなど)、乗り物(会社)の設計が科学的にできない、乗り物(会社)の性能を100%発揮させる変数がはっきりしていない、競技ルールが必ずしも明確に決められていない、などという沢山の課題がある。このように、単純化されたプロジェクトの経験、マネジメント手法を経営に適用するのは、少し、乱暴であるような気がした。
科学による予測で論理的に意思決定する割合が、経営における意思決定で50%である、という反面、論理的思考でものごとが全て推し量ることが可能である、というような論調でかかれた文体に接すると、本書のタイトルの経営学というのは(少し、理想主義的な、青臭さも少し感じる)学問としての経営学のことを指しているように感じてしまうのは自分だけであろうか。

企業の持つ社会性や環境変化を加味しない場合における、ひとつのモデリング経営
本書は、プロジェクト・マネジメントの大家である筆者が、企業経営における科学的論理性の大切さを説いた書である。 本書では、企業を巨大なプロジェクトと捉え、プロジェクト・マネジメントの視点から見た企業経営の改善機会が提示されている。
第1に、企業経営は、時間発展的、非線形、離散型の問題として捉え直すことを通じて、最適組織をモデリングできるとしていることである。工業設計で多用されてきたこうした知見を用い、実効性あるビジネスシステム設計やマネジメント・コントロールの在り方に関する視点を提供している。
第2に、経営における科学的論理性の必要性を改めて教示している。「経営は科学か、アートか」といった議論はいつも付きまとうし、完全無欠の論理もありえない。その点を了解しながらも、経営管理や経営戦略のなかに論理の網の目を巡らせることの大切さを改めて強調する。
第3に、科学的論理性を超越した存在としてのビジョンや経営哲学の存在が、企業を推進する過程で如何に大きな役割を果たしているかを説く。プロジェクト・マネジメントでも、ビジョンを起点としてプロジェクト・コンセプトや実現化プロセスが描かれる。より多数の人間が関与する企業体であれば、構成員のベクトル観を牽引するビジョンはプロジェクト以上に重要な意味を持つ。
ただし、著者があとがきで述べているとおり“乱暴な”記述も認められ、跛行的な論が多いと感じられる点は科学的論理性を重視する本書の意見表明とは相容れない。多分に企業の社会性の視点が乏しく、著者の人間嫌いが伝わってくる。また、仮にこうした場合、環境が静態であれば良いが、環境は変化する以上、オーバーフィッティングを引き起こし、変化に適応できなくなる。
読む価値なし!
『理系の経営学』というタイトルが非常に魅力的だったので
つい買ってしまったが内容は惨い。まず、著者が理系的経営手法といっているものは全て
既存の経営学の考え方ないしその言い換えに過ぎない。
ある程度経営学を勉強されたことのある方であれば
すぐに気づくと思う。
もっとも著者も本来工学を専門とされている方であって
経営学ないし実学的経営を専門とされている方ではない。
ポーターのように工学から経営学へ移った方でもない。
そのような方が既存の経営学にはない新しい経営手法を
確立することができるだろうか
経営学が抱える問題の一つとして経営学間にあっても用語が統一
されていないというのがある。学者間でなるべく用語を統一しよう
という流れがある中で本書のように同じ内容を述べているにも係らず
用語のみを変えてさも自論のように語るのはいかがなものだろうか。
私には単なる害書にしか思えない。
この本を買うぐらいならAmazonでの評価が高い他の経営学の本を
買ったほうが良い。
また、ある程度経営学を勉強された方であればタイトルで購入せず
是非書店でちょっと立ち読みをしてから買われることをお勧めする。
重複した内容が多い
一冊の本の中で、内容がかなり重複しています。
なので、「またその話か」と思うことが多いです。内容は経営の話と言うよりも、筆者がやってきたことの紹介です。
あまり技術経営の参考にはなりません。
値段の割に得られるものは少ないと思います。