経営者という「人種」のスタディ
失敗事例を分析した本である。それも生半可な失敗ではなく、世界に名だたる大企業や強豪企業、新鋭企業がガタガタになるような大チョンボを集めてきて、そこにある共通項を見出そうという、そういうアプローチの分析である。
で、結果としては出来上がったのは経営学ではなく人類学の本になっている。
つまるところ経営者という人種についてのスタディになっている。
おおざっぱに言って、経営者を経営者たらしめているいくつかの資質(成功へのエネルギー、支配欲、自信、拡大志向、決断力・・・)が、同時にまた大きな失敗の原因にもなるのだ、というメッセージを、ツラツラツラツラと書いている。
成功の復讐的なメカニズムなので、クリステンセンの「イノベーションのジレンマ」にちょっと似ていなくもない。
ただ、あのように整理されていない。
章の構成は現象→原因→対処方法というようになっているのだが、現象と原因で似たようなことが書かれていたりして、感覚的に言いたいことは分かるのだけど「経営者が失敗するパターンは大きく~ですよ。更に細かく見ると~ですよ」といった形に整理しようと思うと、相当タイヘン。
従って戦略ファームのスタッフや経営学の研究者にとっては、仕事や研究にアプリケートしにくいと思われるかもしれない(レビュアーもそう)。
ただ経営者という人種は、やはり普通の人とちょっと違うのだな、というのを感覚的に理解するのにはタイヘン役立つし、自分で整理・構造化するのをいとわなければ、貴重なフレームが得られると思います。