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萌えるアメリカ 米国人はいかにしてMANGAを読むようになったか

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萌えるアメリカ 米国人はいかにしてMANGAを読むようになったかの商品レビュー

3.0 「カンブリア宮殿」および「プロジェクトX」が好きなあなたへ・・・
まず突っこみから。本書の帯の裏表紙面、

「本書は、日本のマンガが北米のコミックス市場へとどのようにして登場し、発展したかということについて、
出版する側の実体験に基づいて書かれたおそらく最初の本である ―本文より」

そりゃ、そんな長い条件付けをしたらなんでも「最初の本」になるでしょ!

まあ、それはさておき。この本はタイトル勝ちってところですね、「萌えるアメリカ」。時勢に乗ったよいタイトルです。
でも内容はアメリカの屈強なナイスガイたちが、どんなキャラに萌えているか、「Oh!妹萌えデ〜ス」とか言って熱く語っているインタビュー
集ではありません。帯に書いてあるとおり、出版する側のお話。アメリカに日本のマンガ出版社を立ち上げた男の奮闘記です。
ですから、実際に「萌えるアメリカ」人について知りたい人には、斎藤環の『戦闘美少女の精神分析』がおすすめ。
初版が2000年と少々古いですが、中盤の方でオタクアメリカンにかなり詳細なインタビュー取材がなされています。

日本のコミックス全般のアメリカに流通させた第一人者はたしかに筆者の立ち上げた会社のようですが、肝心な「萌え市場」、
狭義のオタク市場は後続の会社に先を越されたみたいです(蛇足ですが、ニッチ産業としてスタートしたはずの彼の会社が、
大企業になった後に、その後続の萌えマンガを出版される小さな会社を、規模で圧倒しようとする様は、
なんだかなぁ・・・と思いました)。

レビュータイトルのとおり、「カンブリア宮殿」に出てそうです。裏表紙をめくってみてください。
筆者の堀淵さん、ものすごくさわやかな笑みを浮かべています。全然オタク系ではありません。
スタイリッシュなビジネスマン風で、どちらかといえばシリコンバレーにいそうです。
村上龍と話が合いそうです。彼が筆者の堀淵さんの話を「うん、うん」と頷きながら聞いている絵が目に浮かびます。
もしかすると彼、もうカンブリア宮殿に呼ばれているかもしれません。

本の内容は率直に言っておもしろいです。
特に筆者の会社がアクションを起こすまで、出版物の流通経路が、一般書籍とコミックスで根本的に違っていた、というアメリカ特有の
出版事情は興味深い。
暑苦しい「僕口調」の文体にさえ馴れれば、興味がある人はおもしろく読めると思います。
5.0 おもしろい!でも肝心のところが知りたい!
 全体は、アメリカにマンガを売った成功譚ですが、コレクターバブルだの、ポケモンだの、ランマだの 3Dステレオ本だので、まあ自分は運がよかった、というだけ話のような。さるまんでおなじみの、こわもて白井さんも出てきます。(さるまんも、左右反対のアメリカ版が出ているですねぇ。)アメリカのマンガの特殊な業界構造や流通経路の話も興味深かったです。でも、いちばん知りたい肝心のところ、すなわち、彼らですら左開き英語擬音だったのに、2002年春にトウキョウポップが出てきて、半世紀もの間、絶対に不可能だと言われていた、日本的なマンガ形態(右開き、日本語擬音)のままで一気に売るのに成功してしまった驚異に対する分析や考察がもっと知りたかった。それを一橋の資本力で押し返した、って、最後まで他力本願なのだろうか。
4.0 実はサクセスストーリー
てっきりアメリカのオタクの話かと思いきや、
日本のマンガをアメリカで売ったビジネスマンの
サクセスストーリーなのであった。

ともすれば現地のコミケのような
「絵になる」報道しか日本ではされない中、
アメリカへの日本マンガ文化普及の一端が
(アネクドータルなものであるとしても)
その歴史とともに伺えて大変興味深かった。

著者は現在サンフランシスコで日本映画・
アニメ専門の映画館を企画中と書かれている。
私もそうであるが、外国にいればいるほど
日本人であるというアイデンティティを
強く意識する日本人は多い。
マンガをスタートとして、本書が軽く
日本論にまで踏み込んでいる流れは
読んでいてとても共感できる。
3.0 ニューエイジ文化とマンガ文化のリンケージ
 タイトル名から、“アメリカのマンガの現在”をオタク的に分析した書物だと思ったが、予想が外れた。二十年前、彼の地に、日本のマンガをはじめて本格的に持ち込んだ当事者による回顧録である。で、予想は外れたんだけど、予想外に面白かった。ある種の成功物語なんだけど、こういう古いタイプの読み物こそ、今、新鮮なんじゃないかと。やっぱどんな文化もビジネスも、人であり、人の歴史であり、人と人の交わりであり、っていう。この本を読んで「北米へは、マンガよりもアニメのほうが二十年以上早く上陸していた」「二十年前には『マンガ』の市場規模はほぼゼロだった」「現在、アメリカで売られている雑誌のうち、87パーセントが定期購読」「国民の四人に一人は、自分の名前程度しか読み書きができない」といった様々な事実を知ったのだけど、もっとも興味深かったのは、著者や著者の仲間らが、70年代のニューエイジ・ムーブメントの影響下にあった若者たちだったということだ。ヒッピー文化、ニューエイジ文化、カウンターカルチャーの水脈が、日本を飛び出した若者たちによって、こんなところにつながっていたのかって言う驚き。そして、一旦は日本を捨てたはずの著者が、彼の地で日本由来のマンガをビジネスとすることで、「日本の魅力とは、この国のおおらかさや曖昧さから生まれる美しい柔軟性」と、みごとに本質を突いているであろう(もしくは、今の日本人が見失ってしまった)日本観を持つに至ったことにも、なにか、とっても感激してしまうし、勇気付けられる。彼の地に渡ったからこそ日本が好きになったり、日本が好きだからこそ海外に出て日本を伝える、ってことに対して、ものすごく可能性を感じてしまうのだ。
5.0 アメリカにマンガをもたらした男の自伝
 『萌えるアメリカ』という俗っぽいタイトルなのが勿体無い。本書は現在北米で
日本のマンガやアニメなどのコンテンツを扱い急成長を遂げているビズメディア社
の生みの親である堀淵氏の自伝である。本書のプロローグにも記されている通り、
日本のマンガが北米のコミックス市場へどのようにして登場し、発展したかという
ことについて、出版社側の人間の実体験を綴る現在唯一の本であり、希少な情報が
詰まっている。

 一応、起業からのビジネスを記したビジネス書として読むことはできるが、自伝
的要素との兼ね合いを考えたためかそれに関する分量は少ない。しかし、文の構成
を作者以外が加わって行っているため、アメリカのコミック市場、ライセンスの形
態など必要な情報は最低限含まれている。

 また、作者はビズメディアの創業者であり、アメリカにおけるマンガ市場の形
成、動向をその視点から語っているということには注意が必要である。作者の成功
体験、失敗体験の作者自身による分析は偏りが生じているかもしれない。ビズメ
ディアは日本のマンガを北米に輸出することがメインとしている。それを受け、ア
メリカのマンガ市場は発展していくわけだが、現在ではその市場の中から独自のマ
ンガを作り出そうとする動きがある。アメリカ産のマンガの誕生である。しかし、
本書ではそれについては言及していない。

 アメリカにおいてのマンガ市場に興味を持つ方なら是非読んでおきたい一冊。堀
淵氏の半生を追いつつ、市場の形成、発展の歴史を知ることができる。

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