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ウィキノミクス マスコラボレーションによる開発・生産の世紀へ

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ウィキノミクス マスコラボレーションによる開発・生産の世紀への商品レビュー

5.0 クラウドソーシングによるナレッジ活用のパラダイムシフト
ウェブ2.0系の本や、「集合知」系の本で書かれているようなことを、企業の生産活動に焦点を当てて統合し、経済活動のパラダイム転換と新時代の到来を確信させた。今世紀初頭で最も重要な本の一つになるのではないか。。

21世紀型のウェブが企業や消費者の知的生産活動に及ぼしている影響を、多くのケースを交えて詳述している。

なんと言ってもウィキと経済学をくっつけた本書のタイトル・ネーミングがナイス!この一言は、本のタイトルを超えて、21世紀のウェブ新時代の生産活動のあり方を物語っていると思う。

「オープン性」「ピアリング」「共有」「グローバルな行動」という4原理をウィキノミクスの特性としているが、おそらくはこの経済原理の本質は、取引コストと競争優位の問題に帰せられると思う。

コースやウィリアムソンは、企業がある生産活動を行う際に、外部の生産者の中で最も安い業者を探してそこに委託するのと、自社内部に生産部門を持ってそこで生産するのと、どちらが特かということを考えた。これに関して本書でも触れている。「取引費用は今も存在するが、市場よりも社内のほうが重荷になることが増えた」。例えば、ボーイングは航空機の製造に当たっては世界各地の重工メーカーに生産委託しているが、以前はボーイングがマスター設計をして、その部品を各下請け(日本では、三菱・富士・川崎の重工3社)が生産するカタチを取っていたが、今は各社が設計に積極的に関与して、部品レベルの設計から全体設計に影響を及ぼすようになった。それは、リナックスのプログラミングと同様の仕組みが物理的商品の生産設計でも起こっているということを意味する。そのための外部への情報開示も重要なファクターとなる。これまで企業各社は企業秘密といって社内情報を外部に漏らすことをためらってきた。しかし、外部に漏らして外部の人間にやってもらったほうが、内部で完結させるよりも効率的かつ高度なものができることが明らかになってきた。これは『「みんなの意見」は案外正しい』(J.スロウィツキー)と同じ現象だろう。

個人的には取引のプレーヤーが増えたことも見逃せない。従来の生産活動は、企業と取引業者によって製品は設計され生産された。現在は、すでにプロシューマー(「producer=生産者」+「consumer=消費者」)という言葉は聞き慣れて久しいが、企業とその取引企業ではない外部の第三者=消費者が生産過程に参加する社会になったということ(それにはその参加コストの低減やインフラが整備されたことが大きい)もウィキノミクス社会の大きな特徴と言えよう。
5.0 知識がマスコラボレーションで構成されてゆく
コンサルタントの2人が書くマスコラボレーションの世界の紹介

インターネット上の不特定多数が参加して作成する辞典wikiを中心に
マスコラボレーションで成り立ってゆく世界の紹介

ベースは、インターネットにより、知の距離が近くなり
ボーダーレスに一挙に破壊された時代にどのような活用が
あるかどうかについて述べています。

インターネットは、ITの世界で、ITの世界だけの出来事ととらえがちですが
、ITは”知”を扱うことから知を中心に大きな変化が起きていることを
述べています。
ボーイングがバリューチェーンにインターネットの威力を使う事例や
鉱山会社が、鉱山情報を公にすることで社内で発見できなかった
鉱脈を見つけたり、ほぼ1章において、1つづつの事例が紹介されています。

3人寄れば文殊の知恵ではありませんが、コラボレーションの力を
利用してさらに上昇してゆく企業と、従前の特許と社外秘で守った
秘伝の技術で勝負してゆく企業とどちらが生き延びるかなど
考えさせられること多の内容です。

パラダイムシフトを伴うこの考えは、使い方を間違えばインターネットへの
情報の漏洩だけで致命的な失敗になりかねないが、パラダイムシフトに
乗り遅れるとやはり、恐竜として旧大陸に置き去りにされる時代に
なったのだなという怖さを感じる内容でした
3.0 ポイントは鋭いが内容はやや冗長だと思います
いわゆるWeb2.0の本質について、いくつかの切り口(目次参照)に基づいて議論を展開しているわけですが、内容についてはやや冗長な感じがしました。
また、訳出に違和感を感じる部分が多々あり、何度も読み直す箇所がありました。


本著で述べられているポイントは大きく以下の4点であり、これについてはその通りだと私も思います。

 1.従来の囲い込み戦略を取り続ける企業は、オープン化を進める企業や組織に駆逐されるであろうこと

 2.マスコラボレーションにより圧倒的多数の英知を活用することができ、開発の速度や品質が大幅に改善される可能性があること

 3.マスコラボレーションはグローバルに実現されなくてはならず、それをうまく協調させる仕組みが重要であること

 4.製品・サービスのイノベーションに役立つコンシューマー(プロシューマー)を活用することが重要であること


本書が半分以下のボリュームで価格が1500円程度であったならば、星は4つか5つ付けられたかもしれません。費用対効果の観点から今回は3つとしました。
2.0 成功事例しか書いてない。胡散臭い。
率直に言って「胡散臭い」。

「これからは、企業は自分の資産をどんどんオープンにして、社外のコミュニティを上手に使って新しい価値の創造とコストダウンをしないと生き残れないよ〜」って、ようするにWeb2.0啓蒙系の本なんだけど。自分もそういう流れの渦中にいる身だし、そういう世の中はエキサイティングで面白そうだし、どんどんやって欲しいと思うけどさ。

でもそういう流れって、実際のところ死屍累々じゃん? それこそ、なんでNetscape社の話が出てこないの? まっさきに自社のコア技術をオープンソースにしたものの、Mozillaプロジェクトは存続したけど会社はお粗末な状況じゃないか。

こういう、マイナス面を扱わないバランスの崩れた本って良くないと思う。実際はオープン化しなくても生き残れる(というかクローズドの方が上手くいく)企業だってあると思うし。オープン化ってある意味「劇薬」なのに、さも簡単に扱えるように煽るだけ煽って、無責任じゃね?
4.0 重要な本だと思います。
若干訳文がこなれてなく、特に前半は原書の良さが出てない印象ですが、
重要な本だと思います。

考えを整理する意味で、本の内容に沿って、企業人としての言葉で以下の通り読み替えて見ました。

ウィキノミクスを支える、4つの行動原理:
結局、事業活動を行う際に最もCriticalなリソースである人材と知恵を、
この行動原理を通じて、社外から調達する仕組みが競争力の源泉となる。

(1) オープン性:
ITとは最もRemoteと見られた鉱山会社や、
2000年当時、閉鎖的な企業風土で成長が鈍化したP&Gでの革新事例。
「P&Gの優秀なエンジニア1名に対し、同等の人材が社外には200人はいることが分かった」

(2) ピアリング:
外部コミュニティーと対等な関係で、しかも効果的に協働する能力。
企業情報を公開すべきラインの明確な認識と、プロジェクト管理能力。
IBMは10年で身に付けた。

(3) 共有:
知的財産をオープンにするものとクローズドにするものを分離し、
共有することにより一層価値を高める仕組みを作りつつ、
クローズすべきコア部分をしっかり守ること。

(4) グローバル:
グローバルな調達は単なるコスト削減でなく、スピードと知恵を獲得する手段となる。
グローバルな販売は単なる販売チャネルの拡張でなく、
全く異なるビジネスチャンスへの挑戦を通じた、
技術革新のきっかけとなり、これもBottom Of Pyramid戦略のような、
鋭角的なスピード増と知恵の獲得の手段となる。
ボーイング787の全世界調達の例、
BestBuyのセールスマンのネットワーク化(Web型対話と営業現場とトップの直結)、
中国の二輪メーカーの革新(競合メーカー同士での仕様共通化による部品互換性)。

ウィキノミクスの設計原則:

(1) 混沌を管理すること。リードユーザーからヒントを得て進化を見極めること。

(2) クリティカルマスを達成すること。途中であきらめないこと。

(3) コラボレーションのインフラを提供すること。

(4) エコシステムへの参加者全員が価値を得られること。金銭だけではない。

(5) コミュニティの規範を確立し、従うこと。

(6) 必然より偶然、計画的な作り込みよりも、進化を重視すること。

(7) 天動説から地動説へ、個別企業利益からコミュニティ最適へ。

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