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ウィキノミクス マスコラボレーションによる開発・生産の世紀へ

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ウィキノミクス マスコラボレーションによる開発・生産の世紀への商品レビュー

3.0 ポイントは鋭いが内容はやや冗長だと思います
いわゆるWeb2.0の本質について、いくつかの切り口(目次参照)に基づいて議論を展開しているわけですが、内容についてはやや冗長な感じがしました。
また、訳出に違和感を感じる部分が多々あり、何度も読み直す箇所がありました。


本著で述べられているポイントは大きく以下の4点であり、これについてはその通りだと私も思います。

 1.従来の囲い込み戦略を取り続ける企業は、オープン化を進める企業や組織に駆逐されるであろうこと

 2.マスコラボレーションにより圧倒的多数の英知を活用することができ、開発の速度や品質が大幅に改善される可能性があること

 3.マスコラボレーションはグローバルに実現されなくてはならず、それをうまく協調させる仕組みが重要であること

 4.製品・サービスのイノベーションに役立つコンシューマー(プロシューマー)を活用することが重要であること


本書が半分以下のボリュームで価格が1500円程度であったならば、星は4つか5つ付けられたかもしれません。費用対効果の観点から今回は3つとしました。
2.0 成功事例しか書いてない。胡散臭い。
率直に言って「胡散臭い」。

「これからは、企業は自分の資産をどんどんオープンにして、社外のコミュニティを上手に使って新しい価値の創造とコストダウンをしないと生き残れないよ〜」って、ようするにWeb2.0啓蒙系の本なんだけど。自分もそういう流れの渦中にいる身だし、そういう世の中はエキサイティングで面白そうだし、どんどんやって欲しいと思うけどさ。

でもそういう流れって、実際のところ死屍累々じゃん? それこそ、なんでNetscape社の話が出てこないの? まっさきに自社のコア技術をオープンソースにしたものの、Mozillaプロジェクトは存続したけど会社はお粗末な状況じゃないか。

こういう、マイナス面を扱わないバランスの崩れた本って良くないと思う。実際はオープン化しなくても生き残れる(というかクローズドの方が上手くいく)企業だってあると思うし。オープン化ってある意味「劇薬」なのに、さも簡単に扱えるように煽るだけ煽って、無責任じゃね?
4.0 重要な本だと思います。
若干訳文がこなれてなく、特に前半は原書の良さが出てない印象ですが、
重要な本だと思います。

考えを整理する意味で、本の内容に沿って、企業人としての言葉で以下の通り読み替えて見ました。

ウィキノミクスを支える、4つの行動原理:
結局、事業活動を行う際に最もCriticalなリソースである人材と知恵を、
この行動原理を通じて、社外から調達する仕組みが競争力の源泉となる。

(1) オープン性:
ITとは最もRemoteと見られた鉱山会社や、
2000年当時、閉鎖的な企業風土で成長が鈍化したP&Gでの革新事例。
「P&Gの優秀なエンジニア1名に対し、同等の人材が社外には200人はいることが分かった」

(2) ピアリング:
外部コミュニティーと対等な関係で、しかも効果的に協働する能力。
企業情報を公開すべきラインの明確な認識と、プロジェクト管理能力。
IBMは10年で身に付けた。

(3) 共有:
知的財産をオープンにするものとクローズドにするものを分離し、
共有することにより一層価値を高める仕組みを作りつつ、
クローズすべきコア部分をしっかり守ること。

(4) グローバル:
グローバルな調達は単なるコスト削減でなく、スピードと知恵を獲得する手段となる。
グローバルな販売は単なる販売チャネルの拡張でなく、
全く異なるビジネスチャンスへの挑戦を通じた、
技術革新のきっかけとなり、これもBottom Of Pyramid戦略のような、
鋭角的なスピード増と知恵の獲得の手段となる。
ボーイング787の全世界調達の例、
BestBuyのセールスマンのネットワーク化(Web型対話と営業現場とトップの直結)、
中国の二輪メーカーの革新(競合メーカー同士での仕様共通化による部品互換性)。

ウィキノミクスの設計原則:

(1) 混沌を管理すること。リードユーザーからヒントを得て進化を見極めること。

(2) クリティカルマスを達成すること。途中であきらめないこと。

(3) コラボレーションのインフラを提供すること。

(4) エコシステムへの参加者全員が価値を得られること。金銭だけではない。

(5) コミュニティの規範を確立し、従うこと。

(6) 必然より偶然、計画的な作り込みよりも、進化を重視すること。

(7) 天動説から地動説へ、個別企業利益からコミュニティ最適へ。
4.0 昨今のビジネス環境で生き残るには...
 この耳慣れない言葉,コラボレーションの『ウィキ』(万人が書き込む事のできるネット辞書のウィキペディアに端を発する)と『エコノミクス』からできた造語が『ウィキノミクス』であり,コラボレーションをベースにビジネスを展開して生き残るか,あるいは消え去るかの二者選択をさすともある.インターネットがもたらしたモノは,収益マターを必ずしも起点としない価値の創造をもたらす配分ルールのエコシステムに依存したビジネスコンセプトであり,この重要性が以前にも増して今や必須になっている.もはや世界は繋がっており,個々の起業が単独で収益を独占できる時代は終わっている.コラボレーション無しでは生き残れなくなっているのが現状のビジネス環境なのだ.

 併せて読むと良いのが,『キーストーン戦略』,ここにはエコシステムを基板としたビジネス展開の重要性が述べられており,概念的には『ウィキノミクス』に共通するところがある.進展著しい科学技術を基盤とした複雑性を有する昨今,この時代を生き残る上で参考になる知見を得ることはできよう.と言うか,勝ち組は既に実践しているのである.

 ボリュームが 500 page近くあり,ちょっと読みづらいところは無くはない.
4.0 ショックは大きい、日本は大きく遅れた
先ごろ、ボーイング社の新型ジェット機787型機(通称ドリームライナー)の第一号機がロールアウトした。
その頃、日本の株式評論家は「ドリームライナー効果で、日本株の関連銘柄が買われる。787の翼は日本の○▲社のカーボンファイバーで、、、、、、、、」などとやっていた。
最後の最後まで製造拠点を米国に置いていたと思われていたボーイング社が、変わり身早くウイキノミクス化して787を作り上げたことを本書で初めて知った。
日本のお家芸である自動車産業は典型的な垂直分業的な産業だ。
ところが、諸外国では製造業ですら水平分業的になり始め、かつ成功を収めつつあるのだ。
アップルによるipodの成功などがその例だろう。

冒頭の金鉱山探索の話も、ウイキノミクスがたちまちビッグマネーとなるという点で象徴的な出来事だ。

私を含めて多くの日本人が、英語でのコミュニケーションは得意とは言えないだろう。かような時代となると、日本人にとっては不利であることは間違いあるまい。

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