アーキテクトという職業の魅力を紹介してくれる本
「アーキテクトは、~フェーズでは~を行い、成果物は~です。」というような学術的な説明ではなく、ケースを通じてアーキテクトの役割を説明しているところが、この本の良いところです。アーキテクトの役割を解説した本ですが、(もしあるとすれば)理想的なアーキテクトの仕事は何かということは、この本からはわかりません。このケースのアーキテクトは、プロジェクトリーダも兼ねているので、厳密な意味でのアーキテクトの仕事だけをやっている訳ではないからです。しかし、この本はアーキテクトという職業に興味を持ってもらうためのものなので、「そういった細かい部分は、別の本で」というスタンスでちょうど良いと思いました。事実、この本はその魅力を十分に伝えてくれる良書です。
本書を言い訳に使うのははだめだと思う
本書は,単なる技術論よりもつっこんだ話題を取り扱っており,非常に有益で,「買い」だと思います。特に「油断していると人買いがやってくる」というのは泣きそうなぐらいのリアリティがあります。ただ,人間系・ビジネス系・「社会科学」系を毛嫌いしている,一種劣等感の混じった軽蔑をしている人たち,特に若い人たちに,本書を誤解してほしくないな,と思います。
「こちら」から解決できる,「こちら」から解決すべき問題もあり,それらへの本書のアプローチは有効だと思います。しかし,「こちら」からだけでは解決できない,前に進めない問題は現実にはあります。
そして誰かがそこに手をつけないといけない,「誰か」というのは「自分以外」かもしれないけれど,必ずしも常に「自分以外の誰か」ではないということを意識してください。いつまでも住み心地のいい自分が理解できる範囲の遊び場に留まってばかりいるわけにはいかないのです。
本書を先へ進む,進めるためのひとつの手段として活用してほしい,と考えます。