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著者略歴によれば、堀田佳男氏はアメリカで情報調査会社に勤務の後、90年にジャーナリストとして独立し、過去4回の米大統領選を取材してきた人物。本書は大統領になるにはいかに選挙資金が必要で、各候補はその金をどういう具合に集めてきたのか、そしてそれをどういう目的に使っているのかについて論じた新書です。 あとがきに記された内容から類推するに、本書が執筆されたのは2007年夏からのおよそ半年と思われます。本書は民主党の有力候補としてヒラリー・クリントン上院議員を、そして共和党のほうはルドルフ・ジュリアーニ前NY市長をとりあげて、それぞれの選挙資金を取材しています。残念ながら私が本書を手にした08年4月初旬の段階では、共和党はマケイン上院議員が最終的には党の正式候補になる見込みだし、民主党はオバマ上院議員が選挙資金集めの面でもクリントン氏を大きく圧倒していると報道されています。その点だけ取り上げれば本書の視点は、少々的外れとなってしまっています。 しかし、本書の描く全体像に目を向ければ、「76年以来、本選挙の前年末時点でもってもカネを集めた候補が民主・共和両党の正式候補になるという事実」(171頁)に立脚しながら、米大統領選挙が政策案よりもカネという弾にいかに頼らざるをえないかということをみつめた点は大変興味深いものでした。 もうひとつ、これはカネうんぬんとは直接関係ないのですが、大統領選挙につきものの候補者テレビ討論に関する部分でも面白い事実が書かれています。ケネディ対ニクソンのテレビ討論会では、テレビ映りで優っていたケネディが支持率を高めたようなイメージがありましたが、それはどうやら都市伝説の部類だったようです。著者は、討論会前後の支持率の変動データをもとに、テレビ討論が大統領選の行方を大きく左右することはないと明かして見せています。 新書の部類としては十分楽しめた一冊でした。
銭がなければ、当選ラインには及ばない大統領選の集金システムや有権者登録、予備選など選挙制度についての概要は分かるのだが・・・ 「過去4回も大統領選を取材した」との紹介文を見て読んだが、深い内容の本ではなく残念。 ジュリアーニとヒラリーを本命視しているが、ジュリアーニは降りてしまったし、ヒラリーもオバマに追い抜かれてしまった。 今後どうなるかは分からないが、マケインとヒラリーかオバマの本選になるようで、著者の予想は外れており、この点をもってしても読む気が失せてしまった。 結果的に少数の例外を除き、カネ集めが上手くなければ、党の代表になれず、本選挙に出られないということであり、貧困層は政策としていつまでたっても救われることはない。
大統領はカネで買えるか?―もちろん、買えない。 だが、カネがなくては大統領になれないのは厳然たる事実だ。 本書は、アメリカの政治制度に精通した筆者が「大統領選挙」という複雑壮大なシステムを「カネ」という視点で整理してくれたものだ。 アメリカ人だってよくわかっていないヤツが結構いる「大統領選挙」の仕組みがすっきりとよくわかる。 本書を片手に、2008年の大統領選挙を眺めれば、一層興趣が増すことは間違いない。 アメリカの大統領選挙というのは、他のどんな選挙にも増して「祝祭」的要素をもつ。 広大で多様なアメリカという国において、大統領選挙は人々が「国民としての実感」を感じる数少ない機会であり、国民統合の極めて重要な手段である。 それゆえ「祝祭」を盛り上げるために惜しみなく資源が投じられる。 一種の「非日常(ハレ)」としてスポーツと通じるところがあり、スポーツビジネスと同様「選挙ビジネス」が高度に発達しているところが実にアメリカらしい。 もっとも優秀な連中が、最新のITテクノロジーを駆使して、大金を動かしている。 本書を読むと、そういう「選挙ビジネス」の仕組みがよくわかる。 「へえーっ!」と思うことがいっぱいあるはずである。