それぞれの結末
けっしてハッピーエンドではないことは言っておきましょう。
そのくらいの覚悟がないと幽(かすか)の章は読めません。涙が止まらなくなります。
最後にだったら分かるんですけど、中盤からハンカチが必要かも……
それぞれが幸せだったのかもしれません。
焔(ほむら)だけが消化不良になってしまっているのが残念です。
神(かぐら)は読んでから皆さんで考えてください。
結末は私はハッピーエンドだと思いますよ。
取り方によっては最悪のエンディングかもしれませんが……
夢って?
簡単に言うと結論が無いです。夢を叶えようとする猫がいるのですが、最後では叶ったかどうかよく分からない結末になっております。
それが好きか嫌いかは個人によりますが、僕は好きです。
実を言いますと本を読んでて、涙流しました。
マジです。
といっても、挿絵があってその挿絵を見たときに、こみ上げてきたのですが。
夢とは手前勝手なもの
「もうやらない」と言ったのを翻して、焔に勝負を挑む幽。そして、その勝負の最中に…。この作品では、夢を貫いた結果がどうなっていたのかは明らかになっていない。普通ならば、それはハッピーエンドなのかも知れないが、そうとも言いきれない何かが残る。「夢とは手前勝手なもの」「夢を貫くことで、誰かが迷惑を被る」。読了後の余韻が、それを雄弁に物語っているように感じられる。
「幽の章」は、「焔の章」で行われていた、人物紹介であるとかが全て終了し、話自体が一気に進行する。「焔の章」は、やや人物(猫物?)紹介でややスローなイメージがあったが、それがうまくこの巻で生きてくる。見事。
余韻の残る作品だ。
考えさせられる話
猫の住むコロニーの話だけど、この世界の猫のやっていること、考えていることは全てにおいて人間と繋がるものがあります。対象を猫にすることで作者の他作品「イリヤの空」や「E.G.コンバット」のようなキャラクターに対する感情移入よりも、他視点からの考察という方が強くなっていて、その分読み手に考えさせていて、そこら辺のアイディアがさすがだと思いました。
ジャンルこそSFだけど、必死に自分の夢を追う猫達の交流と衝突を通して、人の生き方について鋭く丁寧に語られた傑作です。