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子どもを選ばないことを選ぶ―いのちの現場から出生前診断を問う

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子どもを選ばないことを選ぶ―いのちの現場から出生前診断を問うの商品レビュー

1.0 障がい者の現場に対する知識も興味もないのに自身満々に語るのには疑問
この本の中の著者と臨床遺伝医・長谷川知子さんとの対談を読んでいると、実は著者は学童期以降の障がい者がどのように暮らしているかについて殆ど知らないということが分かります。それに気がついてしまうと、結局著者は「いのちの現場から」とは書いているけれども「障がい者の現場」には基本的には興味がないのだなあ、と思わざるを得ません。

著者自身の主張自体に異を唱えるつもりはないけれど(そういう主張があってももちろん良い)、それ以前に「障がい者の現場」に対する知識も興味もないのに(興味があるなら学童期以降の障がい者の暮らしについてももっととっくに知ってるはずだろ!)あまりに自身満々に主張している姿には正直言って強い嫌悪感を持ちました。

おそらくこの著者にとっては「子どもを選ばないことを選ぶ」というのは自明の信念であり、その生まれた子供が育っていく社会が実際どうであるかということは本質的には興味もないし関係もないと思っているのでしょう。しかしながら、自活していくことが難しいほどの重い障がいを持つ方々の幸せは周囲の人や社会環境に依存せざるを得ない部分があるのが現実であり、そして現代日本の障がい者を巡る社会環境が理想的であるとは言えないのもまた事実です。そして、その理想と現実のあいだのギャップの重荷を実際にズシリと背負わされるのは第一には障がい者本人であり、第二にはその親兄弟を初めとする家族になります。この全ての現実を受け止めた上で「子どもを選ばないことを選ぶ」というのならそれは一つの尊重すべき哲学であると思います。

しかしながら、この本の著者には障がい者の現場に対する知識も興味も基本的にないのです。この著者にとっては障がい者の現場において現実と理想の間にギャップがあろうとなかろうと関係ないのでしょうが、「そこにギャップがあろうとなかろうと関係ない」と何の屈託もなく言えるのははっきりいって非当事者(あるいはガチガチの宗教者)だけなんです。だってそのギャップを背負う者は当事者たちなのです。当事者とその関係者はいつだって逡巡しているんです。

なので「そこにギャップがあろうとなかろうと関係ない」となどとは決して言い切れないにもかかわらず「子どもを選ばないことを選ぶ」という当事者の方々には「きれいごと」は全く感じませんが、この著者のような障害の現場に対する知識も興味もない方が「子どもを選ばないことを選ぶ」という信念を示したところでそれは「きれいごと」としてしか正直響きようがありませんでした。

この著者は「信念の人」ではあるのだろうけど、信念が勝りがちで一般的なバランス感覚のある人ではないんだろうなあ、と感じました。

私は本書よりも、当事者の率直な心情が綴られた「障害をもつ子を産むということ」(中央法規出版)、またNICUで繰り広げられる小児高度医療を巡るルポタージュとしては「子守歌をうたいたい 長野県立子ども病院と小児医療のいま」(信濃毎日新聞社)をお勧めします。
5.0 これは、きれいごとではない 
私の子にも障害があり、下の子を産むときには40歳すぎていました。障害児をまた産む可能性はわかっていましたが、羊水検査等はしませんでした。
はっきりと、「次の子にも障害があったとしても育てていける」、と思っていました。

この思いは、きれいごとではありません。障害児を育てる苦労もわかったうえでの、本当の私の人生、私の決断です。結果を一生、引き受けるのは私であり、子供本人にもしも「どうしてこんな体に産んだの」といわれたときに、答えねばならないのも私です。この本気の決断を、第三者に、「きれいごと」などといわれたくない。

わが子に障害があると知った最初の頃は、確かに、死にたいと思い、何故わたしだけが、とか、一生にわたって苦しみを背負ってしまった、と思っていました。でも、あるときから、「毎日面白いこともあるし、特に不幸せではない」と思うようになり、その後、わが子の個性をいとおしく思って、この子としか通じ合えない瞬間(とてもコミュニケーションのとりにくいタイプですが)をいくつも重ねていくと、「とりかえてあげるといっても絶対にこの子がいい。選べたとしてもこの子を選ぶ」と、私と家族の思いはかわっていきました。
一人の子どもを10年、15年と育て、振り返っての私の思いです。

もちろん、障害受容には時間がかかります。その過程で『こんな子いやだ』と思う人を責めることはできないし、ごく当然の思いでしょう。それは、「自分はこの人生を選べなかった」と感じるからではないか、とずっと思っています。離婚した友人もいます。我が家もいろいろありました。でも人生には、その先がある、ということもあるのです。離婚しなかった人の方が実際の統計では多いわけですから・・・。

「子どもを選ばないことを選ぶ」ことによって、「自分でこの人生を選んだのだ」、と思えると、子育ても、人生も、ほんの少し違ってくるかもしれません。もちろん、ことはそんなに簡単ではなく、本当につらいこともありますが・・・。でも、今私は、他の人と比較することなく、本当にのんびりと幸せな日常なんです。 こういう私の気持ちを肯定してくれた本だと思います。
1.0 きれいごとばかり
この本に登場するご家族には、本当に敬意を表します。自分のこどもが障害を持っているということを受け入れ、その子の持てる可能性を最大限伸ばすべく養育に力を注ぐ、ということは誰にでもできることではないと思います。

しかし見方を変えれば、きれいごとばかりで非常に偏った内容の本であると思います。
生まれた子が未熟児だったり障害がある子だったりしたために離婚したご夫婦も珍しくありません。この本はそういうことにはいっさい触れていません。
世の中全体がこの本のような論調を信じ込んでしまったとしたら、つらくて大変でもうやっていく自信がない、と切実に思っている人たちはどこで声をあげたらいいのでしょうか。
今は頑張っているご家族でも、次に生まれてくる子がまた何かしら障害のある子であったら、そのご家族はどうなってしまうでしょうか。
現実に「この子は本当にかわいいけれど、でももうひとり障害児がいたら、もう無理です」という人、特にお母さんはたくさんいらっしゃいます。誰がその考え方を責められますか。
きれいごとばかり並べても、実際に育てるのはご家族、特にいちばんの負担はお母さんにかかってくるのですから。

仕事上の必要性から読んだ本ですが、まったく役に立ちませんでした。
1.0 バランスに欠けていると思いました
私の子供は重い先天性の病気を持って生まれ、そして程なくして亡くなってしまいました。もし自分がそういう経験をしていなければ、この本に素直に共感していたと思います。

この本に出てくる家族の方々には尊敬の念を持っています。しかしこの本を読んだ結果として、「子供が病気を持って生まれること」を全面的に肯定できるのは、結局その家族が病気を持った子供を授かった家族の中でも「勝ち組家族」だからだよ、と感じざるを得ませんでした。

私のように生まれて程なくして授かった子を病気のために亡くしてしまった者にとっては、「子供が病気を持って生まれることは不幸ではない」と誇らしげに語られても正直辛いだけです。私のような立場の親はこの本には全く出てきませんし、また、座談会等に登場する方々は皆、医師であったり医師の妻であったりキャリアウーマンであったり経済的にも社会的地位にも特に恵まれた方々ばかりで、「子供が病気を持って生まれても幸福ですと言い切れない人には発言権を与えてはならない」という雰囲気をこの本から感じました。

病気を持って生まれてくることは本人や家族にとって不幸なことだとは限りませんし、幸福な家庭の方がむしろ多いのかもしれません。しかし「幸福」とは言い切れないケースもあると思います。後者のことが全く触れられていないのは、私のような立場の家族の方々の存在や想いが全否定されているようで、私にとっては読んでいて辛くなった本でした。
2.0 読み終わった後疑問が残りました
妊娠中の我が子に障害がある可能性が高いと言われて悩んでいる時に知り、読みました。
もし自分がそういう立場で読まなければ、素直に共感していたと思います。
また、この本に出てくるお母様方、家族の方々は本当に強くて尊敬します。

でも今回、障害を持つ子を産み育てるという事についてさんざん悩みました。
現実にどういう施設やサポートがあるか、国の補助はあるのか、
実際の現状はどのようなものか等を知るうちにこの本は一部の良い面しか見てないのでは
ないか、と感じざるをえませんでした。

たとえ障害があろうとなかろうと、授かった我が子を否定する親はいないと思います。
ほとんどの人ができれば産みたい、育ててゆきたいと思うのではないでしょうか。
でも現実にそれを選択するのは私には容易にできませんでした。
この本では出生前診断をお腹の子に対する虐待であると言っています。
著者は羊水検査をどんな気持ちで受けていると思っているのでしょうか。
私たち夫婦は羊水検査を受ける事を選びました。
先が見えず、結論が出せず、生き地獄のような毎日でした。

今はただただ、今後の日本で障害を持つ子やその家族に対するサポートが充実して
誰もが子どもを選ばないことを選ぶ事ができる世の中になって欲しいと思うだけです。

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