国立二次の要約問題だけでなくセンター・英検対策にも
本書は英文の論のすすめ方のパターン(論型)と、それを識別するためのキーワード(ディスコースマーカー)に焦点をしぼって書かれた入試問題解説書です。 要約問題をうまく処理するには、個々の文を正確に読み取るだけでなく、文章全体がどのような構造をしているか、筆者の力点はどこか、といったことを把握してそれを「もれなく」要約文に盛り込むことが必要となりますが、本書はそのために必要な知識を一通り提供してくれます。
これらのことは、国語なら中学受験の段階で叩き込まれるような知識ではありますが、「分析的展開」が原則の英語と、「起承転結」が多用される国語では、本書に説明されているように論型そのものに違いがありますし(もちろん一般論で、個々の例外はあるでしょう)英文を題材とした要約の訓練そのものを高校・中学で受けていない方々は非常に数多いと思われますので、本書は十分に意義のある一書だと思います。
本書の趣旨を理解したうえで志望校の傾向に合わせて使う方にはおすすめできます。本書の内容は要約問題ばかりでなくパラグラフ整序・文挿入・接続語補充問題等の対策にも役立ちます。
しかし、個々の文の構造(主語・述語・補語・目的語・修飾語句はどれか、どこからどこまでが句・節か、といったこと)そのものを正確に認識することさえもまだできていないという方は、文レベルの構造把握訓練を目的とする一般の読解参考書をまずやるべきであるというのは言うまでもありません。この本は、構文解説書ではないので、その種の訓練を本書に期待しないようにしてください。
真っ当な読解を目指す人に
単語はかなり覚えた、構文も理解できる。1文1文は訳ができる。でも、長問題は解けない。文全体が何を言っているのかはぼんやりしているし、文を読み終わっていざ問題を解こうとすると初めのほうの内容は忘れてしまっている。そのような受験英語中級者が上級への壁を越えるために必要な本だと思う。いわゆるパラグラフ・リーディングには、なにか胡散臭いイメージがある。各パラグラフの最初の1文だけ読めとか、選択肢の主語だけ見ろとか、どうも釈然としないし、だいいち文章を読んだことにならない。しかし、この本はそうではない。本格派の読解を目指すのに絶好である。
この本では、接続詞や副詞など、文章の論旨展開を表す談話標識=ディスコースマーカーを駆使してあくまで論理的な読みを追求して行く。同様の参考書に河合出版の「王道」シリーズがあり、これも良書だが、全4冊とあって情報量・ボリュームが大きすぎ、短期完成というわけにはなかなかいかない。
この本は要約に的を絞り、効率よく一通りの演習ができる。しっかり理解できれば、要約問題以外にも効力を発揮するに違いない。取り上げられているのは東大、京大、早慶その他、難関国私立の文章が22題で、充分な量だろう。要約を求める国公立大の志願者は必携の一冊だ。