不思議な空気
少女は早く大人になりたいと願った。
女は子供の頃に戻れたらと願った。
冗談のように願いをこめた『願い石』は、これ以上ない形で二人の願いをかなえた。
けれどそれがひどく残酷なもので…どこか不思議な雰囲気の漂う本作品。
ぱらぱらと流し読むだけではよくわからなかった。二度めに読んだ時は一度目ではわからなかったキャラクターの心の動きがわかってきた。想いのベクトルが必ずしも同じ方向に同じだけ向いているとは限らない。そう思わせてくる。
願いが、『かなってしまう』時
私は本著で初めて目にする作家だったが、
日常の身近な人との空白感を感じる、透明度の高い雰囲気をも描ける、素晴らしい作家だと思う。あり得ない奇跡を望む人の願い、もしそれがかなってしまったら?
というほのかな不安や恐怖感もこの物語をより一層美しくみせているのだろか。
『今かなえることは不可能な』少女の願いと、
『今は失われ戻る事はない』彼女の願い、それが交差する時、という仕掛けには感嘆した。
多少言葉で説明しすぎる感もあるが、感情表現においては引っかかりを感じない、
多分、十分に画力を感じるので、絵でみせて欲しくなる欲求が出てしまうのだろう。
少女漫画的な手法を用いた作品も是非読んでみたい。
ともあれ、表紙で惹かれた人はまず間違いなく満足できると思う。
人に薦めたい漫画だ。