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電波男

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電波男の商品レビュー

3.0 全裸だけど趣味の悪い金のネックレスつけてるような半端さ
愛してくれない世界の不条理を嘆く著者ですが、音楽活動をしていた頃に近寄ってきた
異性についての、虫けらを見るかのような記述には、なるほど恋愛資本主義とやらの
残酷さを、著者自らが体現していたのかと、寒々しい説得力があります。
弱さをすべてさらけ出し自分を道化に落としきることによって、
カウンターパンチのように、社会に挑戦を叩きつけているかのような潔さの向こうに、
あまりに暗いナルシズムが渦巻いているのを見つけます。
著者こそ想像力を働かせて、意に沿わぬ相手であったらしい彼女達とか、
自作の小説ヒロインを否定したばかりに突き放した女友達とかに萌えを見出すことが
出来れば、幸せになれたのかもしれません。
5.0 オタクに贈るクィア宣言
主観が強すぎるのは置いておくとして、この本は、

いわば、オタクという現代の(一種の)「セクシャルマイノリティ」であり、「被差別階級」であり、「被搾取階級」である者のうちの一人の叫びである。

この本は、女性から見れば不快感を催すかもしれない。
そりゃそうだ。自分たちが悪い、とか書かれたら誰もが不快感を覚えるに決まっているのだから。

だが、アキバの例の事件を思うと、改めてこの本の重さに驚かされる。
K容疑者は「オタクではなかった」とはいえ、「弱者男性」ではあった。
もし、彼が「萌え」に入れたらこのような惨劇は起きなかったかもしれない……。
だが、世間は我々に対して冷たい。
実在しない「萌え対象」まで、「性的な搾取」といわれ、非難される始末である!!
もし、「萌え」を失い、現実に押しつぶされなければならないとすれば、我々はエネルギーをどこにぶつけるだろうか?
対外戦争か、果てまた革命か、それともレミングのごとく自ら滅びを選ぶのか……?

まさに、この書は「われわれはクィアである」と叫んでいるのである。
万国の弱者男性よ、団結せよ!!
5.0 著者近影
ご家族との集合写真がすべてを語る
一見の価値あり
3.0 愛されたい
とても分厚い本でしたが、著者の筆の勢いに流されて、一気に読めました。
映画や哲学、洋楽など、漫画・アニメ以外の世界にも詳しく、それを彼独自の理論で
無理矢理オタク論や恋愛論などに絡めていく手法は強引ながらなかなかの説得力が
あります。負け犬(今ならスウィーツ(笑)ですね)たちに正面からばっさり斬り
かかる様は、自分も女ながら爽快感すらありました。

しかし、後書きも含め、読了後に印象に残ったのは、斬新な恋愛資本主義論やオタク
論、萌え論ではなく、「愛されたい、愛されたい、誰か僕を愛してください」という、
著者の血を吐くような心からの叫びでした。

豊富な知識を駆使し、膨大な言葉を費やして、結局著者が伝えたかったのは「僕は
好みのタイプの女性に愛されたいのに愛されない、だから僕は女性を捨てて二次元に
情熱をかける」ということだけだったのか、と読了後ちょっとがっくりきたので
星3つです。

確かに著者は、自分の好むタイプの女性には好かれなかったのかもしれませんが、
自分がキモメンでオタクだから女性から男として見てもらえない、と恨み辛みを書き
立てながら、鏡像となるブスデブ腐女子は蚊帳の外に置いている。
彼の言う、「女性をオタクの世界に引き込もう」案というのは、要するに「自分の
好みの女性が、姉、妹、母のいずれかの属性を持って、ゲームキャラのように自分を
癒すだけの存在になってほしい」というものであって、見た目は多少難があっても
同じようなオタク趣味を持つ(方向性は当然違うでしょうが)女性と、互いを理解
し合いながらともに人生を歩んでいこう、というような対人的スキルを要求される
ことからは逃げてしまっている様子なのが残念でした。
まあ過去の傷が深いということなのでしょうが。

彼の、疑似妻、疑似妹に囲まれた今の生活は、彼自身にとってはとても幸せなのかも
しれないし、先日の秋葉原事件の犯人も、ここまで割り切ることが出来ればあんな
惨劇は起こさなかったかもしれない。
そういう意味で、彼の理論はルサンチマンによる犯罪抑止には多少効果があるのかも
しれませんが、こういった男性が増えていった結果、数十年後には、孤独死した老人
の部屋から大量のその手の漫画やゲーム、DVD(あるいはその時の最新の記録媒体)
が発見される、という事態が多発するのかな、と思うとなんともやりきれない気分に
させられます。
5.0 これほど愛を渇望している本はない
用語とか書きっぷりはめちゃくちゃであるが(だからこそ楽しくも読めたが)、己の実存をかけた思想性あふれる本だ。文句なしに5つ星。

著者は現代の恋愛を、金とセックスが中心で愛のない「恋愛資本主義」であると規定する。現代の恋愛に愛がないというのはひとつの極論であり、必ずしもそうではないのが実情であるが、論旨を明快にする上でも、こう言い切るのもありだろう。このことによって完全に今の恋愛状況が相対化され、読者は新しい視点を獲得する。『電車男』は私も面白く読んだほうだが、本書『電波男』の視点からみると、いかに自分が偏った恋愛像に染まっていたかに気付かされた。

「萌え」とは恋愛資本主義のアンチテーゼとして生まれた、脳内恋愛の運動である。これからの時代、心あるものは「萌え」を志向していくという見解を著者は示している。著者自身が恋愛資本主義の内部では受け入れられたことがないという悲しい過去体験が議論の根にある。愛を欲している者にとっては、必然的に要請される心の運動(のひとつ)ではありうる。

また萌えの効用として、鬼畜化の回避をあげている。鬼畜化とは恋愛資本主義への報復行動であり、近い例で言えば秋葉原の無差別殺人も鬼畜化の例であろう(※)。著者は萌えがあるから鬼畜にならずにすんでいると自己分析しているほど、萌えには「実効」があるというわけだ。

著者は萌えにこうして価値を見出していく。確かにそういう部分もあるかもしれないが、恋愛資本主義のアンチが、(鬼畜化でなければ)萌えしかないのだろうか。萌えはだれにも迷惑をかけないから安全な運動ではあるが、どうしても自然にそこに至らない者も多いだろう。だから私が著者についていけるのは、愛の欠如した恋愛資本主義を断罪したところまでであり、そのアンチとして何をもってくるかは、もっと別様な第三の道がありうるというふうに思う。たとえば、汚れた恋愛資本主義の内部で愛の欠片を探す道もあるだろうし、また、空想にしても、著者のようないわゆるオタク的なイコンが必要条件というわけでもなかろう(実際に映画『タクシードライバー』などの例で、イコン以外の萌えも示されてはいるが)。

しかしそれはどちらでもよい。本書の偉大なところは、それ以前の段階、徹底的な恋愛資本主義への批判(否定)を、身を削りながら書ききったところにある。本文もすばらしいが、あとがきを見よ。私はこれほど心を打つあとがきを読んだことがない。

また他にもすごいところは、自分の思想の枠組み内で、手塚治虫を中心とした漫画や、さまざまな映画、ゲームなどを鮮やかに説明できている点である。かつて今道友信氏は死ぬ間際の西田幾多郎に会ったことがあるらしい。もっぱら聞き役の今道氏は、西田があらゆる事象を自分の体系内で説明しきっている点に非常に感心したらしい。本書の著者の場合、萌えの体系でさまざまに事象を説明しているその手腕は見事としか言いようがない。

(※)余談だが、萌えの聖地であの事件というのは皮肉すぎる。あの地で起こしたことにより、恋愛資本主義ばかりでなく、萌えさえも殺してしまった。

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