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教育格差絶望社会 (洋泉社ペーパーブックス)

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教育格差絶望社会 (洋泉社ペーパーブックス)の商品レビュー

5.0 親の資力と子どもの教育
東京都内私立中高一貫校教諭時代の話である。一握りの国公立学校を除いて、私立学校はハイレベル・受験向き、公立学校はその受け皿というのが常識だった。近年、ようやく変化の兆しが見え始めている。田園調布、成城などの高級住宅地には高額所得層(上流階級)が居住する。そしてその鉄道沿線には、名門私立学園が存在する。彼らの子弟は乳幼児期から英才教育を受け、名門私立幼稚園に入る。あとはエスカレーター式に小・中・高・大と進学するか、東京大学を頂点とする名門大学に進学。大企業の一流大学の優先採用は変わらず、一流大学が受験生の狭き門であることは変わらない。卒業後は大企業に就職し人もうらやむ豊かな生活を送る、いわゆる「勝ち組」となる。こうして現在の上流階級(格差再生産のメカニズム)が形成された。愛知県には、昨年トヨタをはじめ初めとする中部財界3社が半分以上を負担して私立海陽中等教育学校が創立された。この学校は、貴族階級の子弟教育で有名なイギリス・イートン校をモデルにしている。学費は年間300万円(寮費も含む)。これでは少子化もやむを得まい。また、2011年4月には横浜市に慶応義塾の小中一貫校が創立される。日本の教育は、全体の底上げを目指すボトムアップ型から優秀な子を伸ばすプルトップ型へ舵が切られたと言えよう。親にとっては、子どもの養育と自分の老後の蓄えのどちらに投資するかの二者択一の時代だ。年金支給は不透明、親にとっては拷問以外の何物でもない。マイホームなど絶望的。絶望は「モラル崩壊」に向かい、治安はさらに悪化する。少子化による大学全入時代到来により、地方私立大学は定員割れ・座して死を待つ状態。多くの大学は志願倍率や入学者数などのデータを公表できないでいる。そんな大学に高い学費を支払い進学するよりも、専門学校で資格などを取得した方が合理的だ。子どもの進路選択の余地は限りなく狭くなる。階級・世襲制の壁が待ち構えている。日本での国会の二世議員などがいい例だ。日本滅亡のシナリオだ。公教育とは一線を画し「大学院修士課程修了(専修教諭)」で固めた私立小学校も存在する。信頼を失った公教育の再生のためにも、公立学校教員採用試験受験資格を「専修教諭」にレベルアップしたらどうか。真の学歴社会はこれから始まる。慶応閥のように大学名を唱えればすべての扉が開かれる(コネ社会の始まり)。人格・能力・社会適応力などはほとんど関係ない点数序列主義教育が市場的競争原理主義のルールの下に置かれた未来を暗示している。対症療法として、最低賃金はどんどん上げて所得の高い人の方は抑えてもよいのではないか。政治の喫緊の介入が必要だ。
5.0 豊富な実例に基づいた良書
 今流行の格差社会の教育版。やはり教育も二極化しているとのことで、著者はその両者に実例を用いて解説してくれている。
 荒川区の例で、実例を用いながらも、極論に走りがちな点はしっかりとセーブする等、主張するところははっきりするが、煽らず客観的に解説する姿勢には好感が持てる。 
 また個人的には、親の何気ない姿勢が子の階層の固定をする、という意見は非常に参考になった。
 教育崩壊が話題になっている今だからこそ読みたい本。
1.0 骨粗しょう症みたいな本
骨粗しょう症みたいな本と題名に書いたが、要するに、中身スカスカでまるで読む気がしなくなる本である。ネットで受験とか教育とか思い当たるだけ検索すれば、この本の内容程度のことはいくらでもあるので、この本をわざわざ買う必要は全然ないだろう。しょうもないブログの方がまだまし。

出版社の人間になったつもりであえて値段をつけるとすれば、せいぜい少年マンガのコミックスの値段くらいがいいところ。(それでも高いとは思うが)
中身スカスカの内容で煽るだけ煽って、何かもっと建設的な意見とか言えないのか?
いかに現実が厳しく、絶望的であっても、この本はかなりトンチンカン。
女性週刊誌かお昼のワイドショーしか見ないような世間知らずの専業主婦にはきっと受けがいいだろう。
それともう一つ気になったのは、(たぶん)男の著者なのに、まるで女みたいな話し言葉で本が書かれていることだが、かなりイライラする。
格差社会についての本はいろいろ出ているので、他のものを買えばどうだろうか?
5.0 現在、英国に息子を留学させてます。
いまどき5教科7科目なんて、限られた勉強エリートしか対応できません。少子化、大学全入、ゆとり教育、学習意欲低下等々、日本の教育・日本の大学をめぐる状況はもう「絶望」的です。自分の子どもを入学させたい日本の大学はまずもって皆無と思われます。現在、高校2年生のうちの息子も、勉強エリートの道に乗れそうもなかったので、一発逆転を狙って、1年間英国留学させました。英語は高校まで勉強しても使い物になりません。日本の高校を「ふつうに」卒業するのを待っていたら、外国の大学への入学は不可能です。ピンからキリまであるアメリカの大学が関の山。現在の、親子の希望は英国の大学への「正規留学」です。一番層の厚い「ふつう」の高校生で、経済的に無理が利けば外国の大学へ流失するのは目に見えています(248ページ)。但し、外国の大学に「ふつうに」入学するためには、どうしても語学の壁が。そこで、英国の国立大学への入学準備として、高校2年生での英国留学を決断しました。子どもをどう一人前にするか、悩ましい時代になってしまいました。いろいろと考えさせられた本でした。 【追補】2008年9月より英国の大学に「正規留学」することになりました。中途半端な「日本の大学」に入学して、中途半端に大学生活をエンジョイされても、親は元一つとれません。
5.0 あとがきまで読んだら、ちょっと胸が熱くなったので、★一つオマケ
 洋泉社ペーパーバックスって、いかにも読み捨てのヒドイ装丁。煽情的なタイトル群。怪しげな著者ラインナップ(失礼!)。だからこのシリーズには、私はずっと食指が伸びなかった。ところが本書については、ページをパラパラめくって目に飛び込んでくる文章の感じ、著者略歴等から、微妙な「当たり」感を嗅ぎ取ってしまった。で、迷った末に購入。結果は…これマルでしょ?
 著者はライターさんなので、議論の土台になる資料や理論は基本的に「借り物」です。論旨を要約すれば、実はありふれていなくもない。でも先行研究を援用する選択眼がブリリアントだし、自分の体験や取材を上手く織り交ぜつつ編集的に論を構築する手つきはシャープ。ジャーナリストにとって重要な資質ですよ。
 一応主な論点だけ掲げておく。日本の教育予算比率が国辱モノ級に低い事実を指摘した上で、「公教育の水準を低くして、あとは個人に委ねてしまうと、階層の再生産性はいっそう強くなり、世襲に近づいてゆく。そして現状はそうなってきている」(p217)。「今の教育制度は『私』が教育費を出して、その成果を『私』が受け取るシステムに向かっている。そのシステムのなかで『公』の意識など育つはずがない」(p254)。「もう1億総秀才はいらない。少数の天才的秀才と、その他大勢はズルしないで働いてくれればいい。そんな産業構造に移行しているから、教育の場も同じ構造になっているのだ」(p275)。「社会全体で見たときに、教育とは投資であり、年金は消費である。将来を支えるのは投資であって、その投資が先進国では最低水準でありながら、それでいて世界でもっとも高齢化する日本を支えろというのだろうか。明らかに国家のビジョンとしては矛盾している」(p281)。

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