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グラミンフォンという奇跡 「つながり」から始まるグローバル経済の大転換 [DIPシリーズ]

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グラミンフォンという奇跡 「つながり」から始まるグローバル経済の大転換 [DIPシリーズ]の商品レビュー

4.0 つながることは生産性だ
世界最貧国といわれるバングラデシュで携帯事業を展開した「グラミンフォン」の創業記です。

発展途上国が欧米企業にとって参入すべきビッグマーケットとは認識されていなかった90年代。
米国の有名大学を卒業し、金融業界でキャリアを積んでいたグラミンフォン創業者のカーディアは、
母国バングラデシュの人々を貧困から救うビジネスを展開したいと考え、
母国に帰って携帯事業を展開することを決意。
様々な物理的・経済的問題をいかに解決し、発展途上国で携帯を普及させるビジネスを確立していったかが詳しく綴られています。

本書で印象的だったのは、「つながることは生産性だ」ということ。
1日2ドル以下の収入しかない「ボトム オブ ピラミッド (BOP)」と称される発展途上国の貧困層にとって、
携帯電話は贅沢品でビジネスになるわけがないと誰もが考える中、
カーディアは「携帯電話が普及することにより、貧困層の生産性が向上し、貧困から脱却することができる」
と考え、ビジネスモデルを模索し続けました。

そして、牛の代わりに携帯電話を持たせるという新しいビジネスモデルを考案したのです。

既に低所得者向け小規模金融であるマイクロファイナンスが普及していたバングラデシュでは、
「銀行からお金を借りて牛を飼い、牛のミルクを売って生計を立てると共にお金を返済する」
というスキームによって多くの人々が事業者となり、
貧困から脱却できるようになってきていました。
カーディアはこのスキームで牛を携帯電話に置き換え、
「銀行からお金を借りて携帯電話を購入し、村人に携帯電話を賃貸することで収益を上げ、生計を立てると共にお金を返済する」
という新スキームが考案しました。
このことにより、「携帯屋」という個人事業者を生みだし、
また、携帯を安価で利用できるようになった村人達の生産性を向上させることで、
両者を貧困から脱却させることができるようになるのです。

「支援ではなく資本の力によって貧困者を救済する」
という考えが普及しつつある現代では、発展途上国はもはやビジネスにおけるビッグマーケットです。

本書はグラミンフォンの携帯事業だけではなく、グラミン銀行のマイクロファイナンスや発展途上国で問題になりがちな様々な社会情勢についても詳しく言及されているので、
国際協力や社会起業に興味がある方にはオススメの良書です。

個人的には、携帯によって貧困層の生産性が向上していく様子を、
具体例を盛り込みながらもう少し詳しく述べて欲しかったですが・・・。

あと、同様にBOPに対する様々なビジネスについて取り上げた本である「ネクスト・マーケット」と併せて読むといいかと思います。
5.0 援助をやめて投資しよう
日本はかつてよりODAを通じて、土木工事をはじめとした援助をしてきた。しかし、その多くは余計なもので、一部政府に近いものしかその恩恵が得られず、モノによってはすぐ崩壊する橋を作っては、逆に地元民から恨まれることも少なからずあった。それでも、日本政府は現地からの要請で、現地のためになっていると信じ込んで援助している。
この本では、こういった考え方が間違っている事をはっきりと示している。開発途上国の人間は決してかわいそうな存在ではないし、ましてや遅れているわけではない。我々と違った観点でものを見て、行動しているのに過ぎない。にもかかわらず、我々と同じ尺度で、モノを提供しようとする事は、現地にとってはありがた迷惑である。
むしろ我々は、現地に「施し」をしてやるのではなく、商売を通じて彼らが発展するように行動すべきである。
4.0 人と人とのつながりが悪政を浄化する?
 ケータイ<つながること>が世界を変える!ことが実感できる一冊です。これまで情報科学の面で注目されてきた携帯電話の研究が、社会科学の面で注目されるきっかけになりそうです。

 先進国ではITは人を幸せにするか?という問いが叫ばれる昨今、発展途上国ではケータイが貧困脱出・経済発展のきっかけとなっている構図がおもしろいと思いました。
5.0 本当の意味の「援助」とは?
昔、エジプトに行った時に現地の子どもに「1ポンドプリーズ」と声を掛けられ
た時、どうすれば良いか分からず、ガン無視してしまった事があった。

それに対する一つの答えが、低額の融資を行ない、貧困脱出の足がかりをつか
ませるグラミン銀行のマイクロローンであり、バングラディシュではインフラ
不足であるが故、手に入りづらかった電話を時間貸し携帯電話という形で身近
なものにし、多くの人々の「一日仕事」を「ほんの数分の労力」に変え、経済的に
自立した女性の時間貸し電話屋を生んだ「グラミンフォン」である。

このモデルは、孟子の言葉を借りれば「魚を与えるのではなく、魚の取り方を
教える」ということそのものであり、破綻寸前の藩の財政を立て直すべく、
養蚕・織物・製陶と新しい産業を興した米沢藩主上杉鷹山や、明治時代に長崎・
外海(そとめ)で技術屋でもあったマルク・マリー・ド・ロ神父があらゆる技術を
地元に伝えた事にも通じるものがあるかと。

また、同じような事を自分に応用させることが出来る。
例えば、自炊やアイロンがけを自分で行なう事が出来るのは素晴らしい事だが、
一方で本来やりたかった事に時間を費やせず、実現させたい事が先延ばしに
なっていた。
それを避けるためには外食をし、シャツをクリーニングに出すことにより、
自分のリソースを自分のために費やす事が出来るようにした。こう考えると、
外食やクリーニングは決して贅沢なものではなく、経済的な選択である事が
分かるだろう。バングラディシュの人にとっても携帯電話は決して贅沢なもの
では無いのだ。
5.0 起業する人はとても参考になります
この本は、これといった人脈や技術を持たない中で、母国への思いと夢の実現に向け努力しそれを成し遂げたカディーアという起業家の物語で、読後に多くの人が純粋に彼に敬服すると思います。文中で流れている「援助よりも投資を、ビジネスチャンスを」というメッセージや、携帯電話のビジネスインパクトが大きいこともとても重要だと思いますが、それよりも事業を確実に成し遂げるために自分が一歩引いて『仲間』を増やしていくこと、自身の利益よりも目的の達成を優先することの2点は、事業を成功させる上でとても重要だと理解しました。
若干文章が硬く読み進みづらいのですが、時間を費やしてでも読むに価値ある一冊だと思います。

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