環境ホルモン入門
環境ホルモンの存在を最初にクローズアップしたのは本書ではないか。日常生活でだれも気にすることのない、ありふれた工業品にさえ、動物や人間の命を脅かす成分が入っていることに驚かされる。人種に違いはあっても、人体の構造に違いはなく、これら化学物質による影響は皆が等しく受けることとなる。
環境への視点
1962年に発行された、レイチェル・カーソン著『沈黙の春』
(新潮文庫,1974年)は、CFCや除草剤のDDTなど「安全」で
「すばらしい」と謳われていた
化学物質の危険性を人々に知らしめた。そしてその衝撃からさらに3 0余年を経て
カーソン女史の予言が現実のものとなっていることを
具体的に指摘したのが本書である。
本書では、生殖能力のみならず感情や性格なども、
遺伝子だけではなく極々微量
(例えばタンク660台分に対して一滴)のホルモンによって
大きく左右されうるなど、
環境ホルモンが与える影響の強大さを紹介し、
「環境ホルモン」問題の危険性を広く世に知らしめた。
生殖能力の喪失は勿論、胎内にいる幼児が
環境ホルモンを暴露すればその胎児に深刻な影響を
及ぼしうるなど、まさに「負の遺産」である
環境ホルモン問題を把握する為には本書は欠かせない一冊である。
環境ホルモン問題に限らず、温暖化問題やオゾン層問題など、
近年グローバルな対応を必要とする環境問題が急速に増えている。
だが、グローバルな対応を取る為には地球に住む一人一人が
その問題の本質を知っていなければいけない。
その点で、一般の人も面白く読めて、詳しいことが分かる本書は
すばらしい。
イマイチ
訴えたいテーマは明確なものの、論拠が乏しく、社説の寄せ集めか、学生の卒論程度の質。問題が深刻なのは伝わってくるが、深刻だからこそ論理的に、冷静に現状を伝えて欲しい。これでは、「環境ホルモンって恐いらしいよ」程度に終わってしまう。証拠となる論文の情報が少なく扱い方も適当。拠り所とする論文に対する批判、反論を慎重に扱っていないので説得力に欠ける。データが揃わない、研究が進まない、といった書き方が随所にみられるが、その理由付けも言いわけ的。それぞれの章にタイトルはついているものの、意図が不明で読みづらい。専門性に欠けるので読みごたえはないし、読み物としては退屈。
汚染化学物質、環境ホルモンについての書籍というより、そういう本のリード文的な内容なので、そのつもりで読めば満足いくけど、期待してしまっただけにがっかりしてしまった。