志を立てる際に成功者の軌跡から学ぶことは古くとも実績がある手法
古今東西の偉人・英傑・大成功者の言葉から自分に合った成功への道をみつけることを勧めた本です。興味深いことに,渡部昇一氏は「プロローグ」において「戦後六十年たって,ようやく,「それぞれの道で志を遂げることはいいことだ」という雰囲気ができあがりつつある(P. 33)」と野球界のイチロー選手や野茂選手を例に挙げて評価しています。確かにスポーツや音楽の世界では割と早くからそうした雰囲気が感じられる他,経済的に成功することへの風当たりも随分弱まったと感じます。 一方では「ニート」と呼ばれる「教育なく,職業なく,訓練なき」若者が増加しています。その原因究明は専門家に委ねますが,個々人レベルでは「自分はどの道で志を立てるのか」という問題意識を持つことが重要です。その際,成功者の軌跡から学ぶことは古くとも実績がある手法です。そこに本書を読む意義があります。
本書の特徴は,(1)渡部昇一氏が著者である点,(2)数カ国・多岐に渡る成功者の言葉が収録されている点,(3)今日から実践可能なことを述べている点,にあります。渡部氏の視野の広さと視点の確かさには定評があり,それらは本書でも遺憾なく発揮されています。この類の本では戦国武将や明治維新に活躍した人物,アメリカ大統領等の常連のよく知られた言葉に焦点が当たります。しかし,本書はリンカーンやエジソン,武田信玄らばかりでなく,日本海軍の重鎮・西郷従道や麻布中学創立者・江原素六,トルコ近代化の父・ケマル・パシャ等,これまで知られていなかった人物が多く盛り込まれています。さらに,武田信玄や徳川家康らの有名な言葉もその発せられる背景を踏まえて解説されている点は秀逸です。
志を立てるのに遅いということはありませんが,やはり早ければ早いほどよいと考えます。その意味で,ぜひ,すぐにでも手に取ってほしい一冊です。