建築を通して見る京都本です
隠れたベストセラー「建築MAP」シリ-ズの京都版です。1200年の都だけあって、他の都市に比べ、歴史的建造物の割合が多い所が特徴です。他のシリーズ同様、ガイドブックとして使いやすいのはもちろんですが、私の場合、時間が出来たとき、無造作に開けたページを読んで、「この建築物は見たことがあるけど、こういう由来があったのか。この建築物は見たことがないから今度見てやろう」などという楽しみ方をしています。また、各建築物の写真と文章だけでは説明できない庭園、町屋等の豆知識、高松伸等の建築家についてのコラム類も充実しています。
ガイドブックとしてはもちろん、京都本、建築本としても楽しめる1冊だと思います。
建築マップ京都
本書は、京都に現存する新旧和様の建築ガイドブックである。建築という対象物は、京都のような都市にあってはとくに、初めて訪れる人がただちに発見しやすいことが優先されるべきであろう。だとすれば、付属する地図の善し悪しは当然ながら、訪ねたい建築が簡単に検索できるかどうかが、死命を決すると言っても過言ではない。本書では、そうした点が周到にカバーされて、めざす建築をただちに探し出すことが可能だ。すなわち、年代順索引、エリア順索引、作品別索引と、発見の糸口は縦横に張り巡らされている。実際に頁を開いてみよう。レイアウトはシンプルで、ガチャガチャ詰め込んだギャル向け観光案内書とは一線を画す。情報量の多さは重要であるが、それを承知しつつ如何に分かりやすく、美しく見せるかという配慮が行き渡るレイアウトだから、余白の美しさが建築の良さを引き出している。若干写真が小さいのが残念であるが、それは実際に見るときのお楽しみ。基本データもきっちり寄り添って分かりやすい。
また、京都建築千二百年の地層、京都をめぐる言説、京都建築豆知識、京都Who’s who、建築ウォッチングの基礎知識といったコラムの充実振りには目を見張るものがある。建築は、ただ見ていればいいというものではない。だれがどういいう経緯で建てたものか、歴史的背景くらい知りたいし、どんな建築家が建てたのかも興味がある。こうした欲求をコラムがしっかりカバーしてくれる。もっと知りたい人には、参考文献リストが役に立つ。ガイドブックのエッセンスが丸ごと詰まったお買い得の本と見た。