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学問とは何か:専門家・メディア・科学技術の倫理

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学問とは何か:専門家・メディア・科学技術の倫理の商品レビュー

5.0 学問の道を歩もうとする人は必読
筆者は、学問を「予測する力を持つ体系的知識、およびその知識を得るための研究方法」(p4)と定義する。
そして、そうした点から見て、現在の学問の状況が、いかに本来の学問からかけ離れてしまっているかを指摘する。

例えば、科学をめぐる言説や科学の持つ特徴をを俯瞰する。
そして科学を絶対のものとして信奉することを戒める一方、科学を安易に「相対化」などといって切り捨てること(サイエンス・ウォーズとか呼ばれているものですね)も批判する。
そして、科学者の果たすべき責任についてもきちんと論ずる。

また、女性学についても、その主張を詳細に取り上げて、これを批判的に分析する。
もともとフェミニズムが集まっている場所であって、学問というより運動家に近そうだという印象は抱いていたが、厚生労働省の議事録に、学者たる者が公然と「都合にいいデータだけを集めて、都合のいい理論を打ち立てよう」との趣旨の発言を行っているのは、驚くというよりもあきれるほかない。
少なくとも現状の女性学は、ただ自分たちのイデオロギーを達成すべく、都合よく「学術的理論」を作っているだけのデマゴーグであろう。

あるいは、ポストモダンが、自分の都合の悪い議論は相対主義や構築主義で退ける一方、自分の都合のいい議論は本質主義で突き通すというダブルスタンダードも厳しく批判されている。
「想像の共同体」を援用しての国家相対化論者や上記フェミニスト、科学を相対化して非科学的な自分の都合のいい意見を正当化するもの、カルスタやポスコロなど、ポストモダン系で一見かっこよく見える人々の論は、冷静に見るとダブルスタンダードの山だったりもする。

結局、現在の学問が自分に都合のいいところへの利益誘導に堕していることを厳しく批判する。
その上で、専門家たるもののあるべき姿を論じていく。

学問の道を歩もうと思う人は是非読んで欲しい。
4.0 「学問」の定義を見直す良書
 学問という耳慣れた言葉。
 それは一体何なのか。

 理知的な語り口で「学問」の射程範囲を明確にし、イデオロギー化する一部の学問に対して警鐘を鳴らす、学者としての良心を感じる一冊。

 筆者によれば、学問とは「予測する力を持つ体系的知識、及びその研究方法」と定義されている。過去の事実を帰納法的に分析していった結果としてある命題が証明され、それを演繹的に展開し、組み合わせていくことで命題の射程範囲は拡大していく。
 そうして一つの体系的知識、が誕生するとそれが学問と呼ばれるわけだが、「体系的」の程度はそれほど問題ではないから、「今日の我が家の夕食の献立」すら学問だといえる、と筆者は思考実験をしている。

 詳しい議論は省くけれども、そういう透徹した語り口、が面白く、交感がもてる。

 惜しむらくは、ジェンダー・スタディーズ等のあり方への批判や、構成主義・本質主義の部分でやや抽象的な議論になりすぎたきらいがあることで、このあたりを具体的な事例を元に展開すると更に深まったものと思う。
5.0 掛谷氏のような学者がもっと増えれば・・
 「リベラル」という言葉を聞くと、「自由」とはかけ離れた左翼文化人しか思いつかないのは私だけではないはずだ。そんな疑問に答え、自称「リベラル」の左翼を批判し、真の「リベラル」(選択の自由とそれにともなった責任と社会の秩序)を訴えた「日本のリベラル」の著者である掛谷氏の新刊である。
 今やイデオロギーに侵された「学問」(特に女性学や社会学)を根本的に考え直し、本当の学問とは何か?を真摯に考察する良書だ。私はただ、彼のような本物の学者が一人でも増えてくれることを祈るのみである。これ以上、現実と「お仲間」のみで閉じこもった偏狭なアカデミズムとの乖離が広がっては、どうしようもあるまい。多くの学生を「××は社会によって作られているイデオロギーに過ぎない」(××には「歴史」でも「性差」でも何を入れても構わない)などと教える<学問>の場に行かせるのではなく、本当の学問の場へ通わせなくは。

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