まさに“鮨絵巻”!!
幾多の鮨本の中で本書の装丁と中身のデザインは特異である。例えるならば外国人向けの「Sushi」解説本のようだ。漆黒の背景に浮かび上がるように写し出された二貫付けの握り、三巻付けの巻物は、いずれも旬の素材を用いており、食べた時の食味が伝わってくるようだ。 見開き左頁に握り、巻物、素材の写真、右手に解説。そんな目を引くデザインに心を奪われ、見落としがちなのが、魚介類のイラストの素晴らしさである。しかも、生息域によって、載せる場所まで頁の上、中、下段に分けると言った懲りようだ。デザインのバランスから若干小さめではあるが、実に緻密で忠実な色使いである。また、紹介されている鮨ネタ自体も、ご当地地魚からメジャー入りした選手が多い。鰊、飛魚、鯒、鮎魚女、伊佐木、鱈、魚ヘン+荒(=アラ)、魚ヘン+睦のツクリ(=ムツ)、魴&魚ヘン+弗(=ホウボウ)、平鱸…。この魚はこんな漢字だったのか、と感心する事しきりである。
①デザインを楽しむ。
②イラストを楽しむ。
③食べたことのないねたを探して楽しむ。
④解説を読んで楽しむ。
⑤季節毎に素材の前に掲載されている握り一人前の皿を楽しむ。
⑥熊笹や葉らんに乗せられた仕込みの済んだネタの美しさを楽しむ。e.t.c.
目を通す度に違った楽しみ方ができる“鮨絵巻”。これが本書の最大の魅力である。