私なら“買い”ません。
他のレビュアーのかたがたの評価が例外なく抜群に高いので、一体どんな写真集なのかと思い、興味津々ページを繰ってみました。 結論から先に言えば、「はて?」というのが感想です。
ピントが甘い写真。
水平が取れていない写真。
中央にどんと電信柱が異物のごとくそびえ立ち、その向こう側に散る花火をシャッター速度を遅くして撮影した(手ぶれ)写真。
そうした「作品」がおよそ60枚、この薄手の写真集には収められています。
随分とへたくそなスナップ写真です。あまりのヘタさ加減に、どう撮ったらこれほどのものが撮れるかと首をかしげるばかり。
おそらく意図しなければこれほどの「作品」は撮れないのでしょう。もちろんそれがこの写真家の「意図」なのでしょうが、私はその「意図」を買いません。
たとえば人間の認識能力というのはよく出来たもので、仮にこの写真集のように実際に電信柱の向こうに花火を目にしても、日を経ればやがて花火の美しさだけが印象に残って、手前に電信柱があったことは記憶から遠のいていくものです。
ところがこの写真集は手前の異物がどうにもこうにも邪魔でなりません。取り除きたくてもそれはかないません。ですからこの写真群が、私の記憶の中で昇華された花火体験とは重なることがないのです。
決して安くはない写真集として世に出した以上、本屋での立ち読みや、ギャラリーで眺めるだけでなく、購入物として消費活動に値するかどうかも判断すべきでしょう。その価格に見合う内容かどうかを判断する権利が消費者である読者にはあります。しかしこの写真集に関しては価格と内容について私はどうしても肯定的な感想を持てません。
よけいなお世話かとも思ったのですが、アマゾンのサイトはあくまで商品カタログであり、実際に商品を手にすることがかなわない読者に対して、私の感想が少しでもお役に立てばと思って投稿しました。
傑作
本屋でぱらぱらとめくっているうちに、じわっと何かを思い出した。花火を見たときの驚き、美しさ。そして、いつも感動するときは予想外のところで花火を見たときだ。花火に向かおうとしたときに住宅街の中から覗く光、高速道路から浮かび上がるいくつもの光。そんな時、現実と非現実が入り混じったようで、少しせつなくなったりした。 そんな思いを蘇らせるなんて、すごい写真家だな~、と素直に感動してしまいました。