この瞬間を生きる。
二人のお坊さんの世間話、いや対談集(笑)
文字で読むのも良いのだけど、これって生声で聞いてみたい。般若心経の「空即是色」は論理的に破綻している。
明らかに間違いだと言えるのはスマナサーラ長老くらいなのか。
「伝統だから、経典にあるんだから、歴史的だから、慣れてるんだから、なんとなく気に入ってるんだから。とかね。一つも真理の証拠にはなりませんよ(p83)」
今、この瞬間を味わうことが大切。
それが生きるということだと教えてくれる。
目標を持つということも、気を付けないと概念の遊びになる。
目標は将来で、後悔や反省は過去。
人間に大切なのはリアリティであり、それは今この瞬間にしかない。
二人の対談を読むことによって、この瞬間こそかが真実であり、大切にしなければいけないのだと分かる。
その連続性が人生ということになるのだろうか。
ぬるーい仏教書の世界にまた一発爆弾投下!
初期仏教界の雄A.スマナサーラ長老と、芥川賞作家にして僧侶としても人望厚い玄侑宗久師の対談です。二回の対談では話題は多岐にわたっており、当代きっての仏教界の俊英が世の中をどうとらえているかということに興味は尽きない。お二人の守備範囲の広さとその博識ぶりには驚かされると思います。 とはいっても本領は上座仏教(初期仏教)と大乗仏教とりわけ禅仏教というお互いの立ち位置を踏まえたスリリングな仏教論です。『般若心経』の「空即是色」は間違いであると堂々と喝破するスマナサーラ長老の舌鋒は、日本では八宗の祖と崇められる龍樹の「空」哲学にも容赦なくメスを入れます。いやぁ、こんなこといえる人、他にいませんよ。
宗派は違えど、僧侶としてははるかに先輩であるスマナサーラ長老の迫力にタジタジになりつつ、落ち着いた口調で禅仏教と日本文化のものの見方を提示しながら論点を浮き彫りにする玄侑師の姿勢にも好感が持てます。何冊か出ている玄侑師がらみの対談本のなかでも、出色の出来ではないでしょうか?
初期仏教と禅宗をつなぐ菩提達磨(ダルマさん)への評価、「山川草木悉皆成仏」という日本仏教を象徴する言葉への目からウロコの解釈など、全編に仏教の常識を揺るがす智慧の光が瞬いているような一冊です。そんな、あぜんとするほど切れ味の鋭い「仏弟子の世間話」をぜひ体験してみて下さい。