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自立への道―ブッダはひとりだちを応援します (お釈迦さまが教えたこと 6)

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自立への道―ブッダはひとりだちを応援します (お釈迦さまが教えたこと 6)の商品レビュー

5.0 相互依存と自灯明・法灯明の意味
仏教で「相互依存」と言えば、ブッダの「縁起の法」を思い浮かべる。すなわち、「これが有ることに縁って、あれが有り、これが生じることに縁って、あれが生じる。これが無いことに縁って、あれが無く、これが生じないことに縁って、あれが滅する。」(マッジマニカーヤ 79:7)である。慣用句で言うならば、「ギブ・アンド・テイク」であり、「持ちつ持たれつ」であり、「権利と義務」ということであろうか。最初の二つの慣用句は「与えることが先」であるが、最後の慣用句は「もらうことが先」という違いがある。世間法(俗世間の真理)である「縁起の法」は「与えることが先」である。著者の説明もそのように解釈できる。それを大乗では「慈悲」として重視したのであろう。
著者が指摘する「責任を果たせない社会のリーダーたち(p.36)」に欠けているのは、この「縁起の法」の理解である。だから、「縁起の法」を少しでも理解した者(この本の読者)が、家族・友人・職場の中で率先して実践することが必要である。それを、ブッダは「自灯明・法灯明」と述べたに違いない。
堀沢祖門氏が『インド仏教の再生』の中で、“ブッダの最後の教えがなぜ「自灯明、法灯明」なのか、なぜ「仏灯明、法灯明」でないのか”という疑問を提起しているが、本書の説明(p.119)を読んでその疑問の由来と正しい答が分かった。
『ブッダ最後の旅』(岩波文庫)のp.63を見ると、ブッダが「自分を島(灯火)にして、自分を頼りにして、他人を頼りにしないで生きなさい。真理(出世間法のこと)を島(灯火)として、真理を頼りにして、他に依存しないで生きなさい。」と述べた後、その“自分を島(灯火)とする”修行法(ヴィパッサナー瞑想法=四念処法)を述べている。ブッダが想定した聞き手(=修行者=声聞)は四沙門果の聖者(シュダオン=預流、シダゴン=一来、アナゴン=不還)であろうから、ブッダが教えた修行法を実践する「自灯明、法灯明」となって、「身・受(感情)・心・(世間)法」における(自己と他者の)貪欲と憂いを除去すること(=菩薩の慈悲=ギブ=持つ=義務)ができれば、阿羅漢果(=仏陀の智慧=テイク=持たれつ=権利)を得ることを保証しているのである。
4.0 厳しさとやさしさ
著者は相変わらず厳しい意見を述べられています。
「パラサイトにしてもニートにしても忍耐力がない。にもかかわらず
感情だけは負けず嫌い。」
 たしかにそのとおりだと思います。だが、だからといってそれがすべてでもなく
甘えにおもえる状況でも詳しく見てみると本人にそうなるのに選択の余地が
なかった、そういう不幸な状況も見出されます。

だから、今うまくいっている人にも、年輩の人にもただ引きこもり、ニートの人たちを
非難するのではなく、人間というのは環境に流される弱者なのだから、自分も
彼と同じ環境で育ったらそうなっていたかもしれないと考えてほしい。

 本の内容としては、上記のような厳しさとやさしさが交じりあった正論です。
スマナサーラさんの仏教についての教え方は非常に具体的でわかりやすいです。
だから、学者の小難しい本は苦手な方や若い方にはおすすめです。
 私の体験ですが、仏教などの宗教的な考え方がある程度身につきますと、正しいことと間違ったことを見抜く力や、考えの柔軟性、また、人間性が向上するので
人間の根本を強くするといえます。
 結局、医学にしろ科学にしろ行き着く先は宗教です。
宗教というのは、絶対必要なもの。他宗教の考えを認めない危険なものではない。
松下幸之助さんにしろ、渋沢栄一にしろ過去の偉人たちはみな心が宗教的です。



5.0 パラサイト、借食、ダニヤ、自灯明、そして犀の角
目次
1章. 人間は依存せずには生きられない
2章. 社会が個人に期待するもの
3章. 自灯明・法灯明
4章. 「孤独」を恐れない人
5章. お釈迦様は孤独を謳う
大雑把な構成をいってしまうと、1,2章では「俗世間では人は何かに依存せずには生きて行けない、独立は不可能」という前提のもとに、正しい依存のありかた、ルールを紹介する。3章からは、そのようなルールを守っていても依存する生き方は本質的に苦であり、非依存型の仏教的な幸福を紹介していき、最終的には解脱の話にまでいく。

以下、書ける範囲で各章の主な内容。
1章. 大人は子供に偉そうに「独立しろ」というが、俗世間での完全な独立は無理。正しい依存(相互的依存)と間違った依存(一方的依存)があり、社会は子供に正しい依存の仕方を教える義務がある。しかし、親はそのようなことを教えないばかりか、子供を愛情(エゴ)で一方的に依存させ、束縛してしまう。相互依存を知らないことや束縛のストレスが、子供のいじめや犯罪、大人のニート、パラサイト、管理社会などの原因になる。さらに、自分で物事を考えられないので、管理社会が壊れる原因にもなる。

2章. 俗世間での幸福は個人が与えるもの(財産、物・知識・能力)によって決定し、さらに「どのように与えるか」ということが問題となる。与えるために必要な性質である「主体性」、「責任感と判断力」、「創造力」を解説。

3章. 俗世間での幸福は、物に依存すること、つまり束縛による幸福だが、実際にはあらゆる苦しみがその束縛から生まれる。非依存型の幸福こそが壊れない真の幸福であり、それを得るには、お釈迦様が発見した真理を自分も発見する必要がある(自灯明)。余談だが、個人的には、この章のスッタニパータのダニヤ経の解説と「日本で一般的に言われている自灯明の解釈は、経典の一部しか見ていない間違ったものが多い」という話は凄まじく、感動した。
………その他まだ読みどころはあります。
5.0 自立とは仏道
人々はよく独立することをよしとしますが、長老は意図も簡単に「生命は依存している」とおっしゃっています。完全な独立はありえないのだから依存を「相互依存」に変えるのが本書の試みです。

相互依存とは社会から受けた恩恵を返還することに似ています。つまり、社会に対して貢献することでようやく関係が保てるのです。たとえば、ボランティアの正しいやりかたとして「苦しんでいる人々を助けてあげて、それによって自分もエゴをなくすのだとはっきりしているならば、大きなお世話のボランティアにはなりません」(p201)という箇所は恩着せがましくなってしまう私にとって耳が痛くなるお言葉です。ですが常に世間的な生き方では完全な独立はありえないということを肝に銘じておかなければなりません。

そこで、本当に束縛から離れるために仏教があります。お釈迦さまは「いかに自分に頼って、法に頼って生活」するために自己観察する修行を説きました。まず、身体と心の動きを観察し、それから真理を発見する過程を、経典では四念処(身・受・心・法)という。(p121)
自己観察始めると次のような利点があります。
「しっかりした不動の固定観念、先入観になる檻をつくるのではなく、つくった檻を破「心の自由と安らぎを感じる」「無知が消える」「無知が減ると同時に、本当の自由も現れる」(pp123-124)

長老は
「自由とは『なるもの』です。…世間でいわれる自由、つまり『得る』自由は、存在そのものです。家族、財産、健康、長生きーこれらは…無常で消えるものです」(p126)
とおっしゃっています。世間的な自由はいかにはかないものかを知るには十分です。

本書は全体として、「自立への道」とはすなわち私たちが依存せざるを得ない母体に対する負担を限りなく減らすための「仏道へのいざない」というような印象を受けました。したがって、孤独を恐れる依存症の傾向がある人には特にお薦めです。
4.0 表紙だけでおなかいっぱい
「今月は何かA・スマナサーラ長老の書籍は発売されていないのかな?」
と思って、お名前で検索してみました。そこで出会いました。

いや、本当に素晴らしい表紙です。赤唐辛子と青唐辛子の表紙。
「これはキツイぞ」と思わせておきながら帯を見てびっくり。
帯に長老がほほえんでおられます。すてきです。
題名も副題も就職氷河期世代の皆さんにマッチしているのではないでしょうか。
これを機に是非何かを「悟って」下さい。

あとは中身の問題ですね…ここまでニーズに合っていると心配になってきます。

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