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いつも旅のなか

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いつも旅のなかの商品レビュー

4.0 いろんな旅の仕方があるのだと気付かせてくれる
25ヶ国以上を旅している著者の旅行記の短編集。一編一カ国で15ヶ国ほど紹介されており、旅先での出来事を飾らずにそのまま分かりやすい文章で伝えているので、読みやすい。筆者は女性だが、貧乏バックパッカーのような旅を多くしており、観光スポットをみるよりは、町をぶらぶらして地元の空気を味わうことに重きを置いている。その分、偶然の出会いなどが多く起こるため、読んでいる方は楽しい。ただ、意外に、女性ならではのトラブルがほとんどないようで、女性の旅行記を読んでいるという感じはしなかった。旅には自分なりの自由な楽しみ方があるのだということが分かる本であった。
4.0 角田さんの、旅
10人いれば、10人の旅の仕方や、見方があって、
その中で、角田さんの非リゾート的な旅はとても地に足がついた感じがする。

2007年7月には、おそらくこのなかのイタリアの旅がそうだろうと思われる
トレッキングの旅に関するテレビがNHKで放送されていて面白い。
(だが、そうだとあまりに収録時期と放映時期が離れているが、
3人も旅者がいるので、そんなものかもしれない。)

個人的には、ベトナムでの旅、旅後が良かった。
4.0 そもそも、旅ってなんだろう?
エッセイストの阿川佐和子さんが、某新聞のコラムで
「この本読んだら、旅がしたくて居ても立ってもいられなくなっちゃった」
とかなんとか薦めていたので、速攻で買いに行き、速攻で読んだ。

モロッコ、スリランカ、ラオス、ベトナム、ちょびっとメジャーで
韓国、スペイン・・・感性豊かな売れっ子作家なら、
やっぱりこの辺りへきっと行くよな、書くよな、
という場所が予想通りに目次を彩る。
バックパックスタイル、これもなんだか彼女のキャラクターにピッタリだ。
で、肝心の体験記は?というと、旅先で何かに対峙した時の心の描写が
実に自然で、実に素直で、スイスイと文字が体内に入ってくる。

中でもぜひ読んでいただきたいエピソードは
「はつ恋」と「いのちの光」。

「はつ恋」は、タイのカルチャーショックに魅せられた
数々のエピソードが書かれているが、とくに時代の変化を
“清潔感の変化”で測るくだりは、なるほどな、と思った。
最近の若い女の子の多くは、汚いモノ、不潔な場所は絶対ダメ、虫もダメ。
水洗トイレのタイルの上にたかだか蛾が数匹死んでるだけで
彼女たちは大騒ぎ。十年前なら汲み取り式、床は水浸し、
トイレの横にはオシリを拭いたティッシュや紙が山積み、
それを「いや〜ん不潔ぅ〜」と言うのならまだ理解はできるのだが。
角田は女性でありながら、その病的なまでの潔癖性に価値観の変化を垣間見る。

キューバの旅の思い出を綴った「いのちの光」。
社会主義国にあまりいい思い出がない彼女が、初めて目にした理想郷。
偉人であろうが、有名人であろうが、一般人であろうが関係ない。
内側から湧き出る音楽が彼らを突き動かし、10代の若者も
80代のお年寄りも、無心で踊る、ひたすら踊る。
何かを信じて一心不乱に踊るその姿は、凄まじいばかりにかっこよく、
いのちの光が彼女の心の闇を元気に照らしてくれたのだ。

いろんな発見や感動は、その日、その瞬間の鮮度を持っている。
ゆえに旅は、刹那的だ。あの日を期待して同じ場所を再び訪れても、
印象も出逢う人も見えるものも、すべてが確実に違っている。
旅は、はかなき一期一会、だからこそ人は病みつきになるのだろうか。

旅って、そもそもなんだろう?
そんな問いかけが頭を駆け巡る、旅好き必読の一冊だ。
5.0 等身大のエッセイ
旅行に行きたいと思った矢先、何気なく立ち寄った本屋で偶然見つけた本です。仕事も名前も年齢も、なんにも持っていない自分に会いにゆくというキャッチフレーズが、何だか新鮮で思わず買ってしまいました。旅をする理由って人それぞれだと思うけれど、貴重な体験を通して得られる対価は、直木賞作家であろうと一般人であろうと違いはありません。日常の雑務を忘れ、オレってアタシって、こんな楽しい一面があったんだと再確認する事が出来たら、どんな旅行でも意味があると思います。後は日々の暮らしの中で、楽しい自分をしまい込んだ引き出しを時々開けてみること。あんまり開けすぎたら嫌なやつに見られちゃうから、ほんの少しでいい。そうしたら、人は全て魅力的になれるのではないでしょうか?
 よく情報娯楽番組なんかで著者を見かける事が多いのですが、バックパッカーとして世界を旅した経験があるからこそ、楽しい自分を自在に引き出せるのだと感心しました。文体も、その人柄どおりで、癖もなく嫌味もありません。直木賞という肩書きを取っ払った、等身大の著者を見た気がします。楽しいエッセイだったので、今度は小説家としての作品を読んでみたいと思いました。


2.0 全体としてはさほど悪くないが・・
冒頭の、モロッコで出会った少年のことを書いた文章に、
やや違和感が残った。

旅行者の目からすると、不自然なまでに親切なこの少年、
何か別の目的があるのかと疑うような態度を見せると、
日本人女性からの褒め言葉満載のノートを見せてくれたりする。

結局、彼が何も要求せず、
「みんなシアワセに」をくりかえして去ったあとで、
著者はこう結論づける。

「バヒールくんと出会ってのち、旅のあいだ私はずっと、
彼の背後に見え隠れした日本的なものについて考えていた。

そうして私は、その『日本的なもの』が
びっくりするほどきれいな気持ちであることに気づくのである。

感情の入る余地のない合理的な商売がきらいで、
押しつけがましい態度にたえられず、
打算のない親切が存在すると信じていて、
向き合いたがいの目を見て話しあえば、
言葉も文化も習慣も経済も乗り越えて、
全世界だれとでもわかりあえるはずだ。

だれもが平等にシアワセになれるよう、
自分の健康を願うように願っている」

さて、私が引っかかってしまったのは、
上に引用した著者の「納得」が、
ちょっと強引過ぎやしないかということだ。

言い換えれば、
現実の少年からこの「納得」に達するまでには
かなりの飛躍があるように思えるのだが、
妙にきっぱりと言い切っているあたりに
裏返しの傲慢さを感じるとは言わないまでも、
どうしても違和感を覚えてしまうのである。

この文章自体は、
「全くの異国の商売人のなかに、自分の国の面影を
色濃く見出したりするから、やはり旅は面白い」
という意味の結論で終わっている。
しかし、少年に対する著者の「納得」は、
この結論を引き出したいがために
一方的に押しつけられたもののようにも見える。

全体を通して、この種のささやかな独断が
いくつか目についたので、
辛過ぎるかもしれないが、こういう評価になった。

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