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ニセ札は、犯罪小説などでいとも簡単に登場する。『奪取』(真保裕一)のような優れた作品でも、ニセ札は大きな要素となっている。 いけないこととはわかっちゃいるけれども、興味はある世界だろう。 この本ではニセ札作りの本質に迫る、というわけではない。もっと距離を置いたルポとなっている。ニセ札を見破り、世界で最高峰の鑑定機を生み出す日本のあるメーカー、そこの経営者に密着した話だ。 こうしてまとめてもらってよくわかるのだが、ニセ札をめぐる犯罪はそれほど珍しいものではない。しかも話題にはなっても、当局も模倣を阻止するために情報を限定してしまうため、いつの間にか収束してしまう。 私たちは確かに著者が言うように、自分のサイフの中にニセ札が入っているとは夢にも思わない。自動販売機を通れば、信用してしまう。 こうした貨幣経済の脆弱さをも浮かび上がらせ、考えてしまう。いずれ紙幣そのものも、電子化によって使用範囲が限定されていくのかもしれない。