ファミコン末期からプレステ初期,粗製乱造期の「悪趣味ゲーム」集
1995年から1999年までに雑誌「ゲーム批評」に連載された,筆者自らの定義で「悪趣味ゲーム」とする一風変わったゲームのレビューを中心とした企画本です。さいとーあゆみ氏の画風によりシュールさを増した筆者原作による漫画が随所に挿入されており,ゲーム業界の裏事情をギリギリまで語りつつ,ゲームレビューも基本的にネガティブな評価ながらも一方的な批判に終わらず,独自の視点で「何故そうなってしまったか?」を分析し,面白さを提供しています。
加えていくつかの企画も追加してありますが,やはり一番面白いのはさいとー氏の漫画でしょう。がっぷちゃんと獅子丸先生の掛け合いは見事。
2005年7月現在3巻まで刊行されている本作ですが,ツッコミの激しさと内容の際どさでは一番なのが当巻でしょう。ニッチだったはずのゲーム業界がビジネス規模の拡大に伴い多くの徒花を生んでいく過程に興味がある方には楽しめると思います。
まぁ簡単にいうとあまり面白くないゲームを買ってしまって「なんでこんなゲームができちゃったの?」とか思ったことがある方に特にお勧めです。対象年齢はちょっと高く,社会人の方でビデオゲームに興味があるなら値段分楽しめるかと思います。
「愛」と「悟り」に溢れた評論集
一般に「クソゲー」と、半ばリスペクトを込めてゲーム・マニアによって呼称される一連の「カテゴリー」をご存じだろうか。この本は、そうした希代のクソゲーをファミコン時代までさかのぼって「悪趣味ゲー」として列挙し、ウィットに富んだ批評を加えきった快作である。基本的な構造は、そのゲーム自体を忠実に描写していくもので、そういった意味ではレビュー的なものです。しかしあまりにも破天荒な今作。一般的なレビュー形式からの逸脱を特徴づけているものはいったい何だろう?それはおそらく、筆者がゲーム業界の「インサイダー」であることを自称している点にある。そこには単純な情報量の差だけではなく、一般的な商品を消費する側としての視点に加えて、生産者サイドの持つある種の「愛」と「悟り」に溢れた批判的記述が、凡百の「クソゲー評」とは違った爽やかなな読後感を生み出す。毒舌を極めた批評のウラには、「ああ、もうこんなゲーム作っちちゃって。困ったヤツらだなあ」という「悦び」と「誇り」を見いだすことができる。だからこそ「クソゲー」ではなく、「悪趣味ゲー」なのである。
主観と客観、虚構と事実がバランス良く配された文章はリズミカルで、我々は筆者の繰り出すグルーヴに身を任せ、腹をよじりながら楽しめば良い。ゲーム作品を貶めるようなイヤらしさはまったく無い。これほどまでに愉悦に溢れた批評、ゲーム好きならずとも必読の書であると言えよう。