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このストレスな社会! (ああでもなくこうでもなく (5))

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このストレスな社会! (ああでもなくこうでもなく (5))の商品レビュー

5.0 天才。
橋本氏の著作のほとんどを目にしていますが、今回背筋がぞっとしました。

刃物のような鋭さ、という表現がありますが、心底そう思ったのは今回がはじめてです。たぶん氏が書かれている社会情勢とか政治とか、自分にはまだ「自分のもの」としてひきつけて考えることができないので、政治家とか実業家に対してもニュースや新聞をチラ見して「なんかイヤ〜な人相の人が資本汁(金儲けだけが好きな人が垂れ流す緑灰色の液体)をびちゃびちゃさせながら気持ち悪いことでもめてるなあ」「昔は渋カジレベルでかっこよさを追求してたはずなのに、なんで顔の幅が肩幅と同じになっても平気で人前に出てくるんだろう、信じられない」くらいに受け止めていました。

しかし、フィギュアスケート、しかもトリノ五輪に出場した日本人女子シングル選手3名に触れている箇所があり、これまで目にしたどんな評論、批評よりも正鵠を射た内容でした。
正直、怖かったです。

特に村主選手については「トップアスリートの決断」というインタビュー集(新書)で本人がほぼ同じ内容のことを言ってるんですね。

フィギュアスケートだったら私にも多少の価値判断ができるはず。この三人を書いたものでこれ以上の内容を私は知りません。
これだけの「物を見る目」「言語化能力」があったんだ、と、いや、それは今までもスゴイなあ、鋭いなあと読んではきましたけれども今回本当に脱帽しました。

こういう「作家」がどこまで「こちら側」にいてくれるのか、本当に怖くてなりません。
橋本先生、どうかお気を確かにもっていただいてですね、うっかり「あちら側」にいかずに書き続けてくださいませ。正直、これほど繊細で頭のいい人がなんでおかしくならずに持ちこたえていられるのか、どのくらいのストレスを感じながら「やなもんはやだ!」と表現しているのか考えると怖くて仕方ありません。

スケートファンの人はぜひ御覧になってみてください。一緒に震えてほしいです。

私ももう少し社会情勢を「ひきつけて」考えてみるようにします。反省しました。
3.0 お疲れぎみ?
この『ああでもなくこうでもなく』シリーズ.これが5作目です.
1〜3を昔読んで,最近4,5を買い,1から一気に読んでみました.毎日1時間ずつ,風呂の中で.

橋本治を読むことの醍醐味は,
「こんなとらえ方もあるんだ」という目からウロコ的な視野の広がりと,
「こんなふうに考えてもいいんだ」という価値観の柔軟性の目覚めと,
「あらら,そこまで飛躍しちゃうの?」という思考のキャパシティの拡大を
求められることにあるわけです.もう,脳みそパンパン.
読後,少しはアタマ良くなった気にさせられて,疲労が気持ちヨイ.

で,3くらいまでは面白かった,非常に.
月刊誌で連載した社会評論をまとめたものなので,今となっては懐かしい出来事や事件や問題などに対して,鋭い切り口でどんどんなぎ倒している.壮観です.
でも4くらいから「疲れている」「なんでこんなに働かなきゃいけないんだ」などという愚痴が多くなる.
5になったら,半分といったら大げさかもしれないけれど,体の不調・世の中への愚痴と,「どうせ俺は変わっている」「ヘンな俺はこうなってしまうのである,だってしょうがないじゃん,こんなヘンな俺に書かせるんだから」などという言い訳で結構ページが割かれている.
お疲れぎみかな? そろそろ還暦だから仕方ないですかね.

だけど,自分の腕一本で生きてこられたのはわかりますが,税金払う意味がわからない,俺は何の世話にもなっていない,みたいな論調はマズイのではないでしょうか,だって例えば,あなたが歩いているその舗装された道路や信号は,誰が整備したの? いい大人がそんなこと言っちゃいけませんですよ.

5.0 橋本氏の視点
橋本治氏の視点はいつも新鮮です。
決して読みやすい本ではありません、このことに関しては、著者自身が「あとがき」で書いておられますね。確かに難しいところ、理解しがたいところも多いです。ですが、それがまた、橋本氏の著作を読む喜びでしょうか、こちらに思考を強いるところがありますね。
私が一番面白かったところは、アネハ事件に関して「専門家に分からないところがあれば、誰かに分からないところを聞くのが普通であるのに、分からないところは、まあいいかと済ましてしまっている」と語られているところでした。
現在の私たちに欠けているところを、やんわりと教えてくれる名著だと思います。
5.0 誰か「橋本治の罪と罰」みたいな本、書いてくれないかしら
 『広告批評』連載のエッセイ「ああでもなく こうでもなく」を単行本化した第5弾。橋本の文章はどれも面白いが、中でもこのシリーズは、橋本の美質がとても良く生きていると思う。何やかやで連載10年という、これだけ長く続けられるということは、無理のない体勢で書けている証拠だろう。

 ただ、橋本の何がそんなに面白いのかとなると、言葉に窮する。いろんな人が橋本について言及しているが、本格的な橋本治論とか橋本批判のようなものは、寡聞にして知らない。02年夏頃の朝日新聞書評欄で山形浩生が橋本の『「浮上せよ」と活字は言う』を取り上げ、「物足りない。このまま橋本ファンに留まったら、自分がダメになりそうで怖い。長い間ありがとう、でもさようなら」みたいな文章を書いているのを読んで、軽い衝撃を受けた記憶はあるが…(山形はweb上の自分のofficial pageで、「あれは橋本葬送の文章じゃなく、橋本を超克できぬ自己への苛立ちの表明だ」と自註しているが、でも「さようなら」って書いといて、それはズルイよね)。

 ナナメ読みを許さない粘っこい思考スタイルなので読了までに時間がかかったが、1点、p433からの「皇位継承問題には関心がないのだけれど」だけは、私は論点が微妙にズレてるように感じた。持統や元明・元正を持ち出して「ホラ、女系もあるだろ」って言われても、現在の皇室問題に直結しないような気がする。

 でも、ま、読んだらいいと思いますよ。残念なことに、橋本が必要な人は橋本を読まないし、読んでもピンと来ないみたいなんですけどね…嗚呼。

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