怒れるウィントン
「コマーシャリズムのプレッシャー」を,いにしえの「黒人諸法」になぞらえたこの作品・・・
発売当初は,「コマーシャリズム」=「売れ線フュージョン」あるいは「口当たりのいいスタンダード」だと思った覚えがあるけど,
今にして思えば,日本のジャズ・ジャーナリズムがさかんに鼓吹していた「新伝承派」なるレッテルづけも,ウィントンにとっての“Black Codes”に他ならなかったんじゃないんだろうか・・・
とにかく当時,彼に対する雑音は凄かった!やれライヴがつまらないの,熱さがないの,マイルスのエピゴーネンにすぎないだの・・・
そんな雑音に対する若者らしい怒りや敵愾心が,このアルバムにそれまでの彼にはなかった「トンガリ」感を与えているようで,自己主張に溢れた大胆なインプロヴィゼーション,時として荒々しい勢いすら感じさせる曲想など,彼の最初のベスト・フォームが記録されていると思う! ジェフ“テイン”ワッツの活きのいいドラミング,チャーネット(まだ10代!)の若鮎のようなベースプレイ,今は亡きケニーのキレのあるコンピング・・・この数年前に同じメンバーでの来日公演を聴いたけど(PAが最悪でかわいそうだった・・・)その時と較べても桁違いの成長ぶり!
個人的にはこのアルバムや「Jムード」の頃が好きだったなあ・・・(「スタンダード・タイム vol.1」とかよりずっと好き)
ウィントンが初めて「らしさ」を全開にした作品。是非聴いて下さい!