集合即興演奏のひとつの成果
コルトレーンの演奏史において、またジャズ史においての“Ascension”の意義は、これまでさんざん論議されてきた。しかしそんなこと、わたしにはどうでもよかった。LPを買ったのはコルトレーンの死後2年ほど経ってからだったが、当時から意義など考えもせず、ひたすら音楽を楽しんだ。いいじゃないのそれで。 まずコルトレーンが短いフレーズを出し、十人ばかりのメンバーがそれを追いかける。モードによる即興が始まる。自由度が高いので不協和音のかたまりが現れるわけだが、かたまりとして聴いても面白いし、一人ひとりのフレーズを聴きわけても面白い。ひとしきり集合演奏がつづくと各人のソロにうつる。そしてまた集合演奏に入る。その繰り返し。ソロではマリオン・ブラウンがとくに素晴らしい。特異なフレーズを繰り出してわくわくさせてくれる。ベース2人(ジミー・ギャリソンとアート・デイヴィス)のパートもスリリング。ベースバトルという感じだ。エルヴィンの複雑多彩なドラミングも楽しめる。30分を超える演奏が長いとは感じられないくらい充実感がある。
集合即興演奏というのはジャズ初期に行われていたものだ。それを1965年という時代の最新のコンセプトで再現したものと言えるだろう。この録音をコルトレーンの「実験」とする見方もある。だとするならこの実験は十分な成果を挙げている。実験を敬遠する人もいるが、進化するミュージシャンの作品はすべて実験なのではあるまいか。……理屈っぽくなってしまった。
エネルギー大爆発という感じなのでうるさいと思う人もいるにちがいない。意義があるからといって無理にお聴きになることはない。音楽を難しいものにしてしまうのはよしましょう。
追記)CDには別テイクが収められている。ソロの順番が少し違うくらいで大差はないが、面白みという点で若干劣るようだ。