堅実な映画
トマス・ハーディーが1895年に書いた『日陰者ジュード』の映画化。いつもいつもかっちりした映画を撮るウィンターボトムらしい映画で、その破綻のなさについては評価の分かれるところだと思いますが、少なくとも安心して見られる作りです(ただし話は救いがたく悲惨なので、楽しい話が好きな人は見てはいけません)。19世紀末イギリスというとすぐに出てくる犯罪や貧困の話ではなく、愛と制度の矛盾、階級と教育の矛盾といった現代的テーマを扱った『ジュード』を選んだのもさすがといえばさすが。 原作は邦訳が出ていますが、残念ながらあまりよい訳ではありません。19世紀の英文学は優れたものが多いのに、たいがい翻訳で損をしていますから、むしろ映画で楽しんだ方がよいかもしれません。
内縁の夫婦関係への社会の冷たい目
原作を読んだことはないが、「愚か者ジュドー」がつまらない邦題になったものだ。若気の至りで性悪女に引っかかってしまったジュドーが聡明な従妹に惹かれるが、婚姻は取り消すことが出来ない。学者になる夢と教師の職を投げ打って暮らし始めた二人だが、内縁という関係は世間に拒絶される。さらに突然現れた妻に子供を押し付けられ、決定的な不幸が…。 タイタニックでは嫌いだったが、この映画を観てケイト・ウィンスレットを見直した。体当たりの出産シーンはあっぱれな女優というしかない。出産を神格化している人には刺激が強いかもしれない。