損失事件の張本人の心の脆弱さを追う秀作
90年代半ば、シンガポールで日経先物取引のトレーダーとして活躍し、やがて巨額の損失を出してイギリスの名門銀行ベアリングを潰した男ニック・リーソン。あの損失事件の顛末を追った映画です。104分と比較的長めな上に複雑な金融業界を描いた作品ですが、物語の途中で飽きることなく見ることが出来た人間ドラマです。 当時の事件報道から感じたリーソン像は、マネー・ゲームの大海原で「取り繕い」と「辻褄あわせ」を際限なく重ねた末に勤務先をこの世から消してしまい、多くの善良な同僚たちに迷惑という言葉では言い尽くせないほど多大な被害を与えた張本人であり、サラリーマンの私の目にはなんとも無責任で浅はかな男として映ったものです。
この映画がリーソン自身の手記に負っているので、そのすべてが真実であるとはいえませんが、それでも10年前に報道から得た印象はこの映画を見た後では少し変わりました。
この映画はヘタなスリラーやホラー作品よりも数段恐ろしい仕上がりになっているという印象を持ちました。この映画の持つ恐怖とは、人間の心の脆さや弱さに鋭利な切っ先でありながらゆっくりと時間をかけて差し込んでくるようなものです。
階級社会イギリスで左官職人の子として生まれ、有名大学へは通うべくもなかったリックが、ベアリングという権威の世界に受け入れられる。彼は父や、今は亡き母や、美しい妻や義父母、友や上司たち多くの期待になんとか応えることだけを人生の目標にして無謀な賭けに出るのです。私腹を肥やすことが目当てではなく、周囲を失望させまいとただひたすら狂おしいほどにもがき苦しむ彼の姿が哀れを誘います。
彼の起こした事件は金融業界に身を置かない私にはやはり今でもどこか他人事ではありますが、彼の義母のセリフがいみじくも指摘するようにその「機械ではない」ニックの人間的な心模様は私の胸にぐっと迫るものがありました。
話はともかく、映画としては・・・
実話を基にした金融映画ということで、結構楽しみにしてたんですが・・ストーリーは、いいとしても映画としての完成度がイマイチ面白みがないのが残念!!
もっと緊迫感を出すような映画にして欲しかったが、
二時間ずっと退屈だった、最後にどうなるかも分かっているので、
映画としては評価できないが、ある意味トレーダーの心情を察すると結構楽しめるし、
人間性が垣間見れるところがいい。
特にこの業界に興味がある人でないならお勧めしない。
NHK特集『マネー革命』でも紹介されました
デリバティブ取引(日経225先物)の失敗で英ベアリングズ銀行を破綻させた男の実話(原題『ローグ・トレーダー』)を映画化。
損失を補填しようと取引高が倍々ゲームになって行きますが、それでも勝てないのは、先物市場が意外に効率的だから?NHKスペシャル『マネー革命』でもチラッと映像を流してくれていました。主演のユアン・マクレガーが熱演しています。
ファイナンスやデリバティブに興味のある方は、一度ご覧になってください。