ジェリドを死なせはしない!
際8巻は、レコアとシロッコの出逢い、マウアーの戦死などに目が行ってしまいがちだが、ティターンズによる毒ガス兵器の使用という愚行にも注目して見ていただきたい。「戦争を早期に終結させるため」という理由で、ティターンズは条約で禁止されている毒ガス兵器を使用する。現実でも起こりうるような話の展開である。ティターンズの理屈は、「イラクは大量破壊兵器を所有している」として攻撃を開始したアメリカやイギリスと大差ない。一方的で、独善的で、強制的である。でも、それは人間の一つの本質であったりもする。ティターンズのジャミトフやバスクだけでなく、シロッコやクワトロやハマーン、ジェリドやレコアなど、多くの登場人間が人間の本性を剥き出しにした行動を取っている。彼ら彼女らの行動は、自分勝手とも言えるが純粋であるとも言える。自分に素直なだけなのだ。そういったある種の人間らしさを備えているからこそ、『Zガンダム』には魅力的なキャラクターが多いのだと思う。
「オレはカミーユを倒さない限り一歩も進めない男になっちまった」と語るジェリドの不屈の精神力には頭が下がる。しかし、それが仇となって周囲の人間が死んでいくということに彼は気づいていない。それがまた不幸である。純粋すぎる人間は、生きていくことですら困難であることが良く判る。幸せになんてなれるはずもない。彼は出てくる度に不幸になるが、不幸になる度に好きになってしまうキャラクターである。