ファン以外の方に観て欲しいです。
これ、結構ハマリますよ。
登場人物たちが現実だと思っている世界が、観る側(視聴者)にとってはまるで舞台劇を見ているように感じさせる演出手法。
どんでんや、奈落、スポットライト、観客のガヤ・野次が何故か当たり前のように使用され、アニメという表現を用いたアングラ劇の様相を呈します。突如現れた未来から祖父(現時点では高校生)に会いに来たと言い張る美少女麿子は、本当に未来の人間なのか、詐欺師なのか、はたまた何らかの企みを持った存在なのか?物語は麿子を軸として、「家族」というものの本質(の近く)まで突き進みます。
舞台劇風な演出により、そして意図的に人形のように描かれるキャラクター達によって、押井氏の「この現実は本当に現実なんだろうか」という観念がより一層際立ちます。自分が現実だと思っている世界は単なる舞台の上の物語であって、何処かの誰かである「観客」というものの目にさらされているんじゃないか、この物語を眺めている観客である我々視聴者でさえ、実はさらに大きな舞台の上に立つ「登場人物であることを自覚していない(脚本の存在すら知らない)演技者」なのではないか、といういいようのない不安感が想起されます。
物語そのものはコミカルに進み、押井節とでもいうようなギャグが満載ですが、その裏側にはとてつもない恐怖が含まれています。
他作を観て、押井氏の作品に興味を持った方に是非この作品をお勧めしたいと思います。珠玉の佳作です。