悪の姿
むかし岡田斗司夫さん(元ガイナックスの社長)が、ナディアの脚本を考えている時に、古代の超科学力を持ってしても、世界中の通商関税を抑える(年貢?)とか人類を奴隷にするとか、支配者としては「しょぼい」ことしか思いつかなかった、といっていたのが印象的。しょせん、悪といっても世俗的に考えると、その辺が関の山なんだよね。ナディアはSF傑作古典のパロディを見事に換骨奪胎しているから、クラークの「幼年期の終わり」とか様々な傑作のイメージを喚起させるけど、その凝縮力を持ってしても、やはり悪の姿はここまでなんだよなぁ。これじゃあフリートレードとシーレーンを押さえる今のアメリカや大英帝国とそんなに変わらない。最高の悪といっても、その辺なんだよなぁ。それと死への旅に赴く潜水艦など船の乗組員って、見ていると感動と涙が止まらない。世界が滅びた後の世界と似ていて、それは強い絆と共同性を喚起させるからだと思う。つまりは、船の乗組員というのは、家族であり、閉じた閉鎖空間で目的を共にする宗教秘密結社であり、死を共にする戦友だからです。ある意味、ファシズムに一番近い(笑)美しさなんだけど。でもあの、死を共に戦う「仲間意識」って、憧れるよなぁ。そういった強い絆は、日常にはありえないから。退屈な日常という現代文明の最高の難問からすると、こうした強烈な絆意識を再現できるのは、物凄く訴求力のあるポイントなんだよねぇ。とにかく物語としては、これほど感動する場面はない。