全世界のボンクラへ愛を込めて
観終わった時、涙が止まらなかった。でも、凄く笑えた。爆笑だ。登場人物は皆、アホだ。クズだ。死んだって誰も困らないような存在だ。日々、どーやってイイ女とファックするか、ヤクをキめるか、金を稼ぐか、名を成すか、そして、どーやって惨めな今から脱出するかで悶々としている。これが上流階級の人々の話だったら印象は全く違ったろう。
「股間に宝が眠ってる」
ポルノ映画の監督にいわれた、そんな一言に胸ときめかす青年が主人公だ。どーやったって、アホなものにしかならない。
しかしその描き方は、衝撃的な程、素晴らしい。群集劇の捌き方はR・アルトマン、サブ・カルチャーの扱い方はM・スコセッシ、画作りのセンスはデ・パルマを彷彿とさせる。
ポルノ映画業界が舞台だからって、別に興味ないし、と敬遠していたら一生の後悔ものだった。年寄りになって本作を観た日には、死ぬに死にきれない思いをしただろう。青年期を終えるまでに観ておくべき超傑作だ。舞台は特殊だが、普遍性は高い。ニューシネマの流れを汲む、真っ当な青春ものだ。
登場人物は皆、アホでクズだ。でも、監督の視線は優しい。どんな奴にでも、一瞬は輝く時がある。その一瞬を採り上げる。ほんの一瞬を。
輝きを失い、死んだって誰も困らないようなクズ共のその後に、ビーチボーイズの「神のみぞ知る」が流れ、素晴らしくラストを締めくくってくれる。
親友に会うような気分で観る作品。