4000円!
それほど見返す訳ではないことを知っていても、どうしても買わずにはいられないDVDというものがあるのではないでしょうか。「オープニング・ナイト」は、作品を「所持」したい、そんな欲望をかき立てる作品です。派手な見せ場は皆無です。アクションシーンも洒落た台詞もありません。映画の中で時間は、重く、ゆっくりと流れます。それでもやっぱり素晴らしいのです。結局のところ、この映画は劇場で4000円を取られても満足できるだけの質を持っているのだと思います。「グロリア」を見て監督が好きになり、「マリ・クレール」の記事を見て、監督夫婦に興味を持ちました。旦那は映画作家=役者で、妻は女優。夫は役者としてどんな駄作でもギャラのために出演し、金をためる。自分の映画を撮影する資金が貯まれば、奥さんを主演にして撮る。妻を主演にしたのは彼女の才能を愛していたこともあったでしょうが、ギャラがいらないということもあったはずです。自宅が撮影場所に使われたことも珍しくなかったそうですから。
この映画は、夫妻が即興演劇を体験したことがベースになっていると聞きました。映画の中で主役の大女優はスランプに陥り、地獄のような苦しみを体験した挙げ句、最後は脚本を無視した演技をすることで、役者として再生を果たすことができます。
最初は退屈かもしれません。ですが、ちょっとだけ(といっても長い時間ですが)我慢してもらえば、後はラストに向かって一気呵成です。マンガ「ガラスの仮面」が好きな人なら、つまり演劇が好きな人なら、まず大丈夫でしょう。夫婦が共に舞台俳優だった強みが出ています。
ですが、映画が本当に好きな人なら、たとえ演劇に興味がないにせよ、絶対に裏切られない作品です。ぜひぜひ、「本物の映画」を体験してみてください。