原点
前作、前々作にはなかった伸びやかさがここにはある。2nd以降のトライセラは、というか和田唱は自分たちの音楽を評する時に必ず使われる「ポップ」という言葉に凄く過剰な反応を示していて、つまり前作、前々作のサウンドというのは「いや、俺らはポップじゃなくて、ロックなんだ」という主張に聞こえて、それがどうにも痛々しかった。
同世代のくるりとか、グレイプバインとか、WINOとか、プリスクールとか、あのいわゆる「98年の世代」に対する評価への嫉妬というのもあったのかな。
でもこの夜明けをイメージさせるサウンドから始まるこのアルバム、絶妙な肩の力の抜け具合である。
歌詞も久々に素直だ。等身大の自分に戻ってる。2ndの頃からちょっと大人になった自分に。
歯医者の待ち時間に有線から“Finally”が聴こえてきた時、すぐにはトライセラだとは思えなかった。凄く声が伸びやかで、リラックスしていて。でもあの声は唯一無二だし。間違えようがないよな、と。
すぐ買いに走って、一聴したとき、「あー、和田唱も自分の存在とか立ち位置っていうのに折り合いをつけたんだな」と思った。
「大人になったんだな」と。
周りがウダウダいうのはこういう商売ではもう仕方のない事で、それに過剰に反応してもどうにもならない。
自分たちを信じて自分たちのやりたいことをやるしかない。
それが受け入れられるかどうかは作り手には責任はない。
「ロック」という言葉に固執する人達はいつだってこき下ろす相手を探してる。
でもそんなの無視していい。
やりたいことやれば、力はあるんだから好きな人はついていくよ。
僕はこのアルバム大好きです。
誰が何と言おうと。
「ロック」かどうかなんてクソクラエだよ。