別名 スノードーム殺人事件
ダイアン・レインの女優としてのピークは、コッポラの傑作青春映画『ランブルフィッシュ』で、当時人気随一だったマット・ディロンを袖にして、まだ無名だったニコラス・ケイジとくっつく中学生役だったと思っています。ウィレム・デフォーを世に送り出した『ストリート・オブ・ファイヤー』のロックスター役で、少しの輝きを放ちはしましたけどね。
ここ数年、端役に甘んじていたダイアンへ、主演女優カムバックのエールを送り続けていたのですが、この映画で復活の手ごたえを感じました。エイドリアン・ラインさまさまです。 この監督は、女優の性的魅力と、男女間の負の感情を引き出すことにかけて、光るものを持っていますね。『ナインハーフ』でのキム・ベイシンガーしかり、『危険な情事』でのグレン・クローズ(でさえ)しかり。『ナインハーフ』でミッキー・ロークに撮影中の体形の維持を強いたように、きれいに撮ることを信念としている監督なので、人間の内面を描くとき表層的になりがちなのに反して、男女の恋慕・いさかい・悲劇・別れなどを描くことにかけては天賦の才がありますね。
この映画も、コニー(ダイアン・レイン)が良心の呵責に苛まれながらも、ポールにどうしようもなく溺れていく、その二律背反をダイアンが感情ゆたかに演じている、そこが最大の見どころです。コニーの夫役リチャード・ギアは、ちょっとサスペンスが入った『Shall We dance?』の予告編的な役どころを無難にこなしておりました。「スノードーム」が重要な小物として扱われている映画って初めて観ました。
★1つマイナスは、『恋に落ちて』で、デ・ニーロと会いたくてワンダーシビックを駆って飛び出したメリル・ストリープが、列車が近づく踏み切りで逡巡する、あの名シーンを彷彿とさせるようなラストシーンで、右か左か、どっちに行くのかを、チラッとでもほのめかして終わってほしかったからです。
30代の貫禄。
「リトル・ロマンス」で初々しい姿を見せていたD.レインもすでに30代の半ばを過ぎた。その大胆な演技に圧倒される。失敗作が続いていたR.ギアも久しぶりにいい役をもらったような感。O.マルティネスはフランス訛り丸出しだが、おじけることなく不倫の相手となる若い男を演じていた。 不倫の結果はいつも悲劇だが、そのことを分かっていながら、瞬間の快楽と幸福にどっぷりと浸ろうとする人間たち。それはこの先も変わらないのかもしれない。