映画音楽界にて、新たな重要人物出現の予感
映画「25時」は、とても素晴らしいものでした。一生私の心に残る作品でしょう。そしてこの音楽、これが作品をよりいっそう深みのあるドラマにしています。スパイク・リー監督も、「この映画に音楽が占める割合はとても大きいものだった」とコメントしています。ここ数年、サントラといえばオムニバス、みたいな傾向が強まって、事実、そこから莫大な売上を誇る作品が生まれたりもしました。その一方で、メロディーものの影は薄れていった。しかし、やはりいいんですね、メロディーものも。音楽を聴いてシーンが浮かび上がってくる、それが最大の魅力です。
サントラ界の最大重要人物の中でも、一度聞いたら忘れないきれいで美しいメロディー作りが抜群に上手い人としては、エンニオ・モリコーネ、マイケル・ナイマンらの名前がすぐに挙がりましょう。「ニュー・シネマ・パラダイス」、「ガタカ」などは永遠の名作です。
そして、本スコアを担当した、テレンス・ブランチャードという人物、彼らに続く偉大な才能だと思います。これまでもスパイク・リー作品に常に関わってきた人物ですが、ここ数年のうちに、メロディーものを作るようになりました。この「25時」は、メロディー・メイカーとしての彼の初期の集大成とも言える作品ではないでしょうか。オープニング、最後のクライマックスでいずれも使われる、この作品のメイン・テーマともいえる楽曲は、それだけ取り出して聞いても泣ける、切なくて哀愁のにじみ出た、非常に優れたメロディーです。
本作品は、今世紀最初の重要サントラだと思います。