じっちゃま強盗団、はて顛末はいかに?
昔はやり手の銀行マンだったり、映画プロデューサーだったりしたじっちゃま達、今は優雅に高級老人ホームで過ごしている。ところが仲間内の一人がぽっくり逝ってしまい、改めて「生」の勢いを考え直し、その仲間の残した地下図面をもとに「銀行強盗やろうぜっ」という計画になるわけですね。 まだボケるまでにはいたっていない頭を駆使し、ついでによれよれになりかけている身体もコキ使って策を練り、穴を掘るじっちゃま達には拍手、それ以外にもバイアグラ使って必死に励もうとする山崎努、鼻の下伸ばして介護のお姉さんに抱きつく青島幸男(選挙なんかでないでこーゆーことやってる方がよっぽど「らしい」のに)、文庫本を離さず、昔のライバルを未だに恨む宇津井健、三途の川を渡り損ない、ひたすらボケ役に徹する谷啓などには思わず笑ってしまう。もう皆さん個性豊かなじっちゃまで、若いモンはたじろいでしまいますわ。
ストーリーとしても最後の最後で強盗の目的が単なる「銭」だけではなかったという大転換があり、「老い」からはどうしても逃れられないことを各人がやっぱり改めて強く認識させられるなど、サビの効いた筋立てになっていたと思います。
それにしてもやっぱりじっちゃま達、役柄としてではなく役者としてもダテに年はとってないなあとつくづく考えさせられました。特にせりふの間合いの取り方がもう上手いのなんのって!せりふの長さは比較的短いものが多くて、状況や感情の説明というよりも、合の手に近い、無意味なせりふが多いのね。それなのにううん、画面から目が離せない。
見て損はないですよ。
じいさんたちのファンタジー
源田金蔵(藤岡琢也)は、奥さんの鈴子(加藤治子)を愛し、「自由」な老人生活を送っている。死んだら入れてもらう棺桶も買い、死の準備をしている。だから、彼が80歳で死んだときは、葬式のやり方もすべて計画済だった。司会の映像を作り、ミッキー・カーチス率いるスタッフのもと、ジャズ演奏(北村英治や鈴木章治が出演している)から飲み物まで、セットアップされたパーティが仕組まれる。このシーンは、ありそうなシュチュエーションで、ビックリする事も無いのだけど、彼の棺が運ばれた火葬場で起こる次のシーンは、ハッとさせる。意外性があって、このシーンは素晴らしい。犬童一心は、「金髪の草原」でも老化をテーマとしたユニークなアプローチをしています。(関係ないけど、主演の池脇千鶴も伊勢谷友介もいい俳優になっちゃったね)「黄泉がえり」(脚本)も考えてみると残酷なファンタジーだよね。「伝説のワニジェイク」は、日本人俳優が外国人を演じる違和感を逆手にとった演出と、ほのぼの感が良かった。「ジョゼと虎と魚たち」も、生き方への一つの切り込みを見せ、その痛さと毒加減が絶妙だった。この映画では、「人生は楽しむためにあるもの」というのがテーマのようだけど、防空壕がらみのシークエンスにヒネリがあるし、菊島のボケの兆候、庄司の心臓発作といった暗い影もチラッと覗かせる。この、現実と夢、生と死を辛辣に描きながらも、ファンタジーとして愛に溢れているのがいいね。