10個の「旅立ちの形」
ライナーノーツで中川五郎さんは「多くの歌で歌われているのは、旅立ちへの決意だ。」と書いていますが、僕も同じような感想を持っています。ただ「旅立ちの決意」というよりは、むしろ様々な「旅立ちの形」を描いている曲が多い印象で、それぞれの曲の歌詞をよく聴いていくと、正反対のことを歌っていたり、「いつかは旅立たないといけないのは分かっているけど、どこに行けば良いのか分からないから(同じことを繰り返しながら)待ち続ける」といった「旅立ちへの戸惑いや焦り」を感じさせる曲もあります。むしろ、こういった「迷い」の部分の方がこのアルバムの魅力なんじゃないかなぁ、とも思います。
歌詞に関してはどの曲が良いとかいうよりは、このアルバム全体を聴きながら辻さんの抱える焦りや矛盾を共有していきたいな、考えていきたいな、と思います。そういう意味では(曲ごとのテーマが一貫しているという意味では)変な表現ですけど、アルバムらしいアルバムですね。
曲に関しては、「onaka」や「春になったら」などのアップテンポの曲が個人的には好みです。
このアルバムに収録されている「春になったら」や「ココア」、「onaka」、「リバース」など春の訪れによる出会いや別れを歌った曲を聴いていると、3月末から4月末への、この1ヶ月の発売延期はちょっと残念に思いました。