5000円まで大丈夫
誰もが認める傑作だと思います。ヒット作なのでよくキャンペーン対象作品になります。変な言い方ですが、こういう映画こそ1円でも安く買って、他のマニアックなDVDの購入資金に回してください。 お馬鹿ストーリーすれすれの危ない脚本を、ここまで完璧に仕上げたジョン・ウー監督の手腕には脱帽です。こういう作品を見ると、映画にリアルさなどは必要ないのかもしれない、と思ってしまいます。しかも、何度も見れば分
かりますが、物語は意外にダークなもの。ラストのニコラス・ケイジの絶叫は背筋が寒くなるほどで、単なる娯楽作の枠を超えた迫力があります。デタラメなお話のはずなのですが、監督の演出にかかると恐怖の不条理映画と思えてくるから不思議です。
また、スローモーションの使い方が本当に上手い。「マトリックス」以来、何か流行りのようになってしまったテクニックですが、サム・ペキンパー監督やマーティン・スコセッシ監督と並ぶ、真のスローモーションを表現できる数少ないクリエイターの一人だと思います。
意地悪な見方をすれば、「マトリックス」のスローモーションは早さを表現するためのものですが、「目にもとまらぬ早さ」を遅く描くという演出は、ある種の詐欺と考えることもできます。ですが、この作品は遅くする必要がないのに遅くしているわけで、これは編集のリズムや、サスペンスという「引き延ばし」の技術を熟知した人の使い方です。本当のスローモーションはこれだ! と嬉しくなってしまいます。大げさに聞こえるかもしれませんが、スローモーションを美しく使ったゴダールの「勝手に逃げろ/人生」と比べても(アメリカ公開時は「スローモーション」というタイトルになったほど)遜色のない仕上がりだと思います。
「自分はここにいる」
トラボルタもニコラス・ケイジも好き嫌いがはっきり分かれる俳優だと思う。演技にクセがあるし、ルックスが嫌だという人(特に女性)もいるだろう。そんな二人がジョン・ウー監督のアクション映画で共演するのだから、それはもう濃い作品であることは見る前から十分承知である。ケイジは情けない男を演じるのが実に上手い。堕ちていく駄目男がピッタリハマるのだ。眉毛を八の字に曲げて呆然とする姿は十八番といったところ。
対しジョン・トラボルタ。彼の何よりの持ち味は、すぐにでもキレてしまいそうなピリピリとした雰囲気ではないだろうか。血も涙もない悪役がよく似合う。
ニコラス・ケイジと、ジョン・トラボルタ。彼らはこの作品の中で、交互に二つの役を演じている。息子を殺され逮捕に執念を燃やす堅物な男と、ケラケラと楽しそうに犯罪を繰り返す最低な男。顔を手術で交換するという突飛な設定も、彼ら二人の迫真の演技によって十分活きている。
自分は自分、けれどこの顔は自分のものじゃない・・・本能的に襲ってくる憎悪と拒否反応は見ていてとてもリアルだった。正反対の人物同士であるから、尚更だ。脇を固めるキャストも皆魅力的。ジョアン・アレンが演じたイヴは気の毒な役柄だったけれど、最後まで芯の強さを感じさせて魅力的だった。
派手なアクションももちろんポイントではあるが、二人の男の入れ替わりとその後の劇的な展開がこの作品の一番の見所である。
顔は同じだけどキャラが違う不思議。
息子を殺されその復讐をすべく仕事に一心不乱に打ち込む刑事とその息子を殺した凶悪犯の顔が入れ替わりお互いが逆の立場になってストーリーは展開していきます。全く正反対ともいえる2つの役柄を2人とも見事に演じきっています。
顔は同じだけどキャラが違うという不思議さが面白いです。