飽きさせませぬ、と言われてみたい、
1965年作品、シリーズ第五作、前作までの4作品で確定したシリーズの舞台設定が本作からの3作、炎情剣・魔性剣・多情剣で三隅・安田・井上という大映全盛期を支えた名監督達によってそれぞれが見事な収穫をあげたといってよく、雷蔵・狂四郎シリーズの中核ともいえる作品群に仕上がっているとおもう、雷蔵が口を開く度に発せられる気障なせりふが一片の嫌味も感じさせずばしばしと様になっており雷蔵自身の役を完全にものにしたという自信も感じる、
前作「女妖剣」で明かとなった狂四郎の出生事情、父親がオランダ人の破戒僧侶だったことを引き継ぎ本作では隠れキリシタン事件に狂四郎が絡む、加えて海賊と財宝、私腹を肥やす悪巧みに励む悪家老阿部徹と悪徳商人西村晃、そして悪女として中村玉緒が大活躍、シーンが変わるたびに着物が必ず変わる中村の色香も楽しい(個人的には”朝顔柄”の帯にとても興味がわく)、赤襦袢一枚に麻縄で緊縛された中村が駕籠から投げ出されるサービス・シーンもある、
三隅研次演出による江戸情緒たっぷりの娯楽時代劇であり、狂四郎を篭絡するために行燈の前で差し向かいになるシーンで中村がセリフをしゃべりながら懐から懐紙を取り出し使うのだが、懐紙を使うしぐさなど現在の若い女優では無理なのではないだろうか、
いつもながら斉藤一郎が良いスコアを提供している、ラストの剣劇シーンで使われたお寺は大林映画でも使われた場所と同じであろう、