二人の女優の魅力。
1968年にチェコスロバキアで起こった政治改革運動「プラハの春」とその後のソ連の政治介入を背景にした男性1人と女性2人の物語。
愛と性が重要な要素だけど、社会に抑圧される個人や恋愛だけではくくれない男女の微妙な関係の深さを考えさせられます。
作品は長めですが、何度か観るうちにその深さがじわじわ分かってきました。ハリウッド娯楽作とはまた違ったヨーロッパ映画の底力を感じます。
エロティックなシーンが多いけれど、鏡を使ったイメージや写真などが使われているせいか、下品さは感じません。二人の対照的な女性、テレーザとサビーナが興味深い。
この二人がお互いのヌード写真を撮るシーンの不思議な魅力が圧巻(それぞれトマシュの妻、愛人と知っていながら)。
テレーザの一途で純真で情熱的なところは一歩間違うと、うっとうしいだけの存在。けれど、あどけなさと強さを持ち合わせているジュリエット・ビノシュにはピッタリ。写真の才能を発揮しながら、それが政治に利用されてしまうのが悲しい。
サビーナ役のレナ・オリンも魅力的。画家として自立し、自分の個性(帽子のエピソードに象徴される)を認めてくれるトマシュとは対等な関係。
余談ですが、サビーナのスタイルの良さはうらやましい。それに対してテレーザは足も太めで腕や背中も少し逞しい感じだけど、それがテレーザの母性を感じさせます。
主人公、脳外科医トマシュの行動は典型的なプレイボーイでありながら、サビーナとの親友めいた関係、テレーザとの断ち切れない強い絆など、矛盾をはらみつつ、物語を引っ張っていきます。ダニエル・デイ・ルイスが演じると不思議なカリスマ性を感じます。
三人の行く末は、観る人の解釈にゆだねられるでしょう。不思議な余韻が残ります。
名作だと思います
原作はミラン・クンデラによる同名の小説です。日本語版が集英社文庫から出ているので、この映画と原作を見比べてみるのも面白いかもしれません。原作の方は、それほど長い小説ではないのですが、映画の方は全部で三時間弱というかなり長めの映画です。 モテモテの脳外科医トマシュ(医者がもてるっていうのはいつの時代でもどこの国でも共通のことなんでしょうかねェ・・・?)は、手術のために訪れた小さな町でテレーズという可憐な女性と知り合い結婚する。二人は自由化を謳歌するチェコで生活を始めるが、トマシュは結婚前から関係のあったサビーナという女性との浮気をやめようとはしない。そんなある夜、トマシュの浮気が原因でテレーズが家を飛び出したところへ、チェコの自由化を弾圧しようとするソ連の戦車が街へと入ってくる。その日以来、ソ連の軍事介入は激しさを増していき、二人はサビーナの後を追うようにスイスのジュネーブへ向うが・・・
ソ連のチェコ軍事介入という大きな歴史の流れの中で、女は男にとっての自分の存在の軽さに悩み、男は歴史の濁流に対する自らの存在の軽さに苦悩する。当時のチェコでは、たった一つの小さな愛が成立することすら困難だったということを、この映画はこれ以上ないというほど巧みに表現しています。
このレビューの初めにも書きましたが、三時間という長い映画ですが、そのシーン一つ一つ、どれをとっても無駄なシーンがありません。主人公となる二人の出会いから、二人の苦悩、そして悲劇的なラストまで、じっくりと見せてくれる骨太の作品です。
嗚呼、ビノシュ・・・ジュリエット・ビノシュ・・・。
今の日本に、小花柄の白いワンピースが似合う可憐な
女性がいるでしょうか?
みんな、よごれちまった哀しみばかり・・・。しかし、この作品のジュリエット・ビノシュは違います。
いつまでも見つめていたい。
可愛い、愛しい、麗しい・・・。
旬の頃のジュリエット・ビノシュを観るだけでも
この映画を観る価値はあります。
もちろん、映画としても、娯楽的要素も、けっこうハラハラドキドキも
あり、単なる恋愛映画で終わっていません。
タイトルは硬いですが、内容は起伏に富んでユニークです。
ただし、かなりエロチックな描写が出てきますので
お子様と一緒に観るのは避けたほうが良いでしょう。