現代中国を生きる人間模様
家族といることの幸せ、家族であることの不幸せについて考えさせられた。恐妻に逆らえない兄、麻薬中毒の弟と魅かれる雇い人(福原愛似)、主人公を想い店に通いつめる中年オヤジ、浮気して家を出た父親。大変貌を続ける重慶の街で再開発の煽りを受けながら必死に生きる主人公(バツイチ、流産経験あり、一青窈似)の人間模様を描く。
主人公は生きるために試みる。文革で奪われた家を取り戻すために音信不通の父親とよりを戻し自分名義にする。役人に賄賂をわたし家を取り戻す。その役人の息子のところに雇い人を嫁がせる。兄や弟との生身のやりとり。中年オヤジとの恋愛。
物語に織り込まれたエピソードが完結し、直前に迫る再開発の及ぼす生活の変化(立ち退き)と新たな出会いとを示唆しながら、物語は終わる。主人公が流す涙。それはこの物語のもうひとつのテーマである「子供」を巡る涙なのだろうか。
古びたストーリーではあるがよく練られている。変貌する重慶の街を走るロープウェイと主人公の生活の場である屋台街の対比が見事で、現代中国の空気を感じる。あとこの監督絶対足フェチ(笑)。
冒頭、主人公の部屋のシーンで、テレビに映画「ゴースト」の有名なシーン(ろくろまわすやつ)が写る。監督がファンなのか。
鴨の首美味しそう ビールに合いそう
舞台は北京でもない上海でもない都市「重慶」
にぎやかな屋台街の一軒を切り盛りする
ションヤンを中心に様々な立場の中国人が登場します。屋台、家鴨料理、自営業、麻薬中毒、一人っ子、血縁、
自殺未遂、精神障害、文化大革命、教育費、愛人、都市開発、
田舎、都会などなど、現代中国のキーワードがいたる場面に。
屋台を女手ひとつ(+手伝い)で続けてきただけあって
ションヤンは努力家で誠実、かつ気性の激しい性格で、
独身ながら女と母の顔を持つという色鮮やかな女性です。
私は中国の屋台の温もりを思い出しながら、
ションヤンのような女性がきっと中国の下町のどこかに
いると確信しています。
下町が喪失すれば、このションヤンのアイデンティティは
あいまいに、街の表情は消えうせてしまうのではないでしょうか。
そんな寂しさが残る作品です。